平成31年で第14回目となる「きもの文化検定」は2006年に始まりました。
下の表のように毎年多くの着物好きや着物関係者が、知識やキャリア向上のために検定に挑んでいます。
級 | きもの文化検定受検人数 | きもの文化検定合格人数 |
---|---|---|
4・5級 | 648人 | 4級508人・5級59人 |
3級 | 729人 | 366人 |
2級 | 295 | 順2級56人・2級143人 |
1級 | 236 | 準1級55人・1級42人 |
きもの文化検定の受検を通して得られるメリットは、きもの文化だけではなく自分自身の生き方や日々の生活にも潤いを与えてくれることです。
日本人が古くから大切にしてきた自然との共存、考え方など伝統文化を学ぶ上で見えてくる内に秘めた美しさなど、女性が身に付けたいそのものです。
そんなきもの文化検定とはどんな検定なのかや、他に得られるメリットなどをまとめた記事があります。
着物を購入する時やコーディネートを考える時の最大の武器にもなので、着物好きにとったら最強の検定と言えます。
私も2級までは持っていますが、この検定に挑戦する前と後では着物に対する見方が大きく変わりました。
それまでは、
「この色は自分に合うし好きな色だな!」
「この柄個性的でかわいい!」
などと、色や柄の好みだけで着物を選んでいました。
しかし、この検定で色々な産地や技法の着物を知ったことで、色や柄だけでない視点も加えた着物を選べるようになり、コーディネートの幅も広がったと思います。
そんなきもの文化検定のもう一つのメリットが、合格者とその同伴者が参加できる表彰式・パーティーです。
平成31年の2月に京都ブライトンホテルで行われた、第13回目の検定の合格者表彰式パーティーに、私も合格者の同伴者として参加してきました。
豪華ゲストがご列席されるパーティーのドレスコードは「着物」というだけの大きなくくりです。
思い思いの装いでコーディネートされた会場は、まさに日本が誇る伝統文化の宝庫です。
小紋から訪問着など様々な美しい着物コーディネートの方や、朝早くから美容院でばっちり決めた髪型などラグジュアリー感満載の会場。
今回はそんなきもの文化検定のパーティーで見た、皆さんのコーディネーや髪型を紹介したいと思います。
美しい着物に囲まれて美味しく頂ける当日のお料理と、豪華ゲストを踏まえてのパーティーの内容も合わせて紹介します。
目次
きもの文化検定パーティー参加者のコーディネートは?
きもの文化検定パーティーでは、毎年恒例の服飾評論家「市田ひろみ」先生が選ぶ着物ファッションショーがあります。
パーティーに参加されている人の中から先生に選ばれた計20名の方が、舞台の上でコーディネートを披露してくれます。
世界各国の服飾を見てきた服飾プロの市田先生が選ぶ着物ファッションショーは、このパーティーの最も面白い時間です。
今回もテーブル別にAグループとBグループに分けられた参加者の着物コーディネートを、先生のお言葉と共に紹介したいと思います。
■Aグループの10名のコーディネート。
A-①トップバッターを飾るのは、会場でもひときわ個性的な帯を使ったコーディネート。
絞りの着物にお太鼓がファスナーになった西陣織の帯、実際にこのファスナーは開けれるそうです。
A-②38年前の鮮やかなオレンジ色に色紙紋のお着物ですと紹介されていましたが、よく見たら文庫ですね。
お着物の色に黒の帯が映えるコーディネートです。
A-③黒地に豪華絢爛な辻が花染めのお着物と帯がセットになった装いです。
古くから伝わる着物の技法を大切に受け継いでいきたいですね。
A-④会場にも何人かは見えた振袖姿ですが、こちらの染は唯一の京紅型です。
右肩から振りにかけて優雅に羽ばたく鳳凰が、会場の雰囲気を一気に華やかにしてくれていました。
A-⑤高貴な紫の色無地に、伝統的な琳派の帯がセンスあふれるコーディネートです。
A-⑥お祝いの席に華を添えるような美しい訪問着に、着物の柄に合わせた朱色の帯締めがポイントです。
A-⑦今回のファッションショーに選ばれた唯一の男性です。
総絞りのお着物に羽織を羽織ることで、男性らしい存在感が増し素敵ですね。
A-⑧お母さまが誂えてくれた小紋だそうです。
お名前が聞き取れなかったのですが、市田先生のお弟子さんが染めたエスニック調が素敵なお着物です。
A-⑨ぼかし染が印象的な訪問着に、伝統技法のつづれ織りの帯で上品な装いに。
A-⑩お母さまが誂えてくれた振袖で、衿元の重ね色がポイントです。
全員集合のお写真です。
以上がAグループの着物ファッションショーでした。
皆さんこの検定で培った知識をもとに、自分なりのコーディネートを楽しんでいる姿がとても印象的でした。
続いてはBグループ10名のコーディネートの紹介です。
B-①写真ではわかりにくいですが、紺色の訪問着に描かれた柄に合わせた重ね衿がポイントです。
B-②斬新なデザインの訪問着は、今回が初おろしだそうです。
茶色の帯に鮮やかな紺色の帯揚げが、センスの良さを際立たせます。
B-③色無地の裾ぼかしは、古くから使われる染の技法。
鳥獣戯画の帯もマッチしています。
B-④お母さまの小紋も、今の時代では個性的に着こなせます。
B-⑤市田先生も年中着ていると公言している単衣の着物。
紬のぼかし訪問着です。
B-⑥本藍染のロウケツ染のお着物
えんじ色の帯揚げ帯締めがポイントです。
B-⑦黒白でシックに大人っぽい訪問着のポイントに龍の帯が映えます。
手組みの帯締めも素敵です。
B-⑧9マルキの泥染め大島紬です。
B-⑨こちらは縞大島紬です。
B-⑩淡い紫の八掛に金錦の帯が素敵です。
全員集合のお写真です。
以上が市田先生の選ばれた着物のコーディネートでした。
毎年思うのは、着物の染織技法の素晴らしさよりも、色と柄を重視したコーディネートを選ばれているように感じます。
1人1人のコーディネートを紹介して下さる市田先生のトークは、愛情たっぷりの毒舌ツッコミも交わるので会場は笑いが絶えません。
きものの文化を学ばれてる皆さんのコーディネートだったために、個々の個性が詰まっていて見ていてとても参考になりました。
このように素敵に着物のコーディネートを仕上げるためには、髪型も重要な一部です。
今回はお祝いのパーティーということもあり、会場には華やかな髪飾りを付けた参加者が沢山見えました。
そんな会場で見つけた、素敵な髪型の方々を紹介したいと思います。
きもの文化検定パーティー参加者の髪型は?
着物の全身のコーディネートを完成させるのに欠かせない髪型の存在。
今回のパーティーも、様々な種類の簪(かんざし)を使った存在感のある髪型の方ばかりでした。
これだけの着物姿の人が一同に集まる場面に行くことも中々ないので、
「あの方の髪型素敵!」
「あ、あの方の髪型はどうなってるのだろ?」
と興味深々です。
総勢250名ほどいた方の中から、特に素敵と感じた髪型の方々10人をお声かけした順番に紹介したいと思います。
①まず初めは可愛らしいお花のかんざしが印象的な髪型です。
お着物も白の花紋が華やか染められていて、衿元との柄と見事にマッチしたかんざしが、気品あるトータルコーディネートに仕上がっていました。
②純白のバチ型かんざしがひと際目を引く髪型です。
ウィッグを使い中心に重点を置いてすっきりまとめられた髪型は、ご自分でなさったそうです。
ウィッグと自髪の境目が分からないように上手にまとめられた髪型は、シンプルの中にも大人の印象を受けました。
③洋服にも似合いそうな今どきシニヨンアップの髪型です。
会場のホテルの美容院で作った髪型は、ご本人はあまり納得がいかがなかったそうですが、パールがあしらわれたべっ甲かんざしで、ふんわり女性らしい髪型は華やかでした。
④お母さまの検定挑戦でパーティーに参加していた親子様の髪型です。
こちらのお母さまのかぶせ髪型をセットしたのは、次に紹介するお嬢様だそうです。
丁度よい大きさで作られたかぶせにべっ甲のかんざしが、しっとり大人の上品さを感じました。
⑤サイドをねじりまとめた髪型に玉かんざしが印象的なお嬢様は、先ほどのファッションショーで京紅型のお振袖を着ていたお嬢様です。
赤を主とする振袖に合わせた、玉かんざしでまとめたトータルコーディネートは、着物と髪型のバランスが取れてて優美なお嬢様でした。
お母さまは同伴していた二人のお嬢様の着付けをして、お嬢様は髪型を担当してと、お互いに協力しながら今回のパーティーを楽しんでいらっしゃいました。
私も娘がいますが、いつかこんな親子になりたいなと思わずにいられない素敵な方々でした。
⑥大きな笄(こうがい)がかっこいい髪型です。
笄とは古くから日本髪を作る時の道具のひとつで、もともとは日本刀の鍔(つば)の部分に仕込まれている小さなナイフ状のものでした。
詳しくは下の記事で紹介しています。
最近はめったにお目にかかることができない笄を使った髪型は、私もはじめて見ました。
笄というと舞妓さんから芸妓さんになる「襟替え」の前の髪型「先笄」が連想されて、どうしてもお歯黒を想像してしまうのは私だけではないはずです。
⑦頭の高い位置でひとまとめにした個性的な髪型。
前髪をポンパドールでまとめて、後ろ髪もトップでひとまとめにしてありました。
ご自分でなされたセットアップに、独特なデザインのべっ甲かんざしが個性的でした。
⑧思いれのある、つまみ細工の髪飾りがお洒落な髪型。
右側に飾った大きなつまみ細工の髪飾りは、ご自身の成人式の時の着付け師さんが作ってくれたものだそうです。
輝かしい時の思い出のかんざしを使い、出席した今回のパーティーもまた、特別な1日になったでしょうね。
⑨変わり形のかんざしが個性的な髪型。
こちらの髪型の方も、先ほどのファッションショーのBグループの一番初めに紹介されたお着物の方です。
お着物にあしらわれたオレンジ色のお花とかんざしで、統一されたトータルコーディネートになり上品でした。
⑩艶やか(あでやか)なお花の飾りが目を引く髪型。
お花飾りの反対側から見る髪型は、サイドに流れる前髪がきれいな導線を作り女性らしさを演出。
左右どちらからも見栄えのある、品格表れる髪型でした。
こちらの髪型の女性もファッションショーのAグループの初めに紹介された絞りの着物を着た方でした。
以上が、今回のパーティーでお見かけした素敵な髪型の紹介でした。
皆さん着物に合わせた髪型にこだわることで、上級なこなれかん満載の着こなし術を見せていただけました。
着物という同じ形の衣装では、個々に違いを出せる髪型はやはり大切なポイントになるのですね。
私自身も初めてのレポの経験なので、ドキドキしながらお声をかけさせて頂きましたが、今回紹介した皆さんは快く写真撮影を許可してくださいました。
こうして、お話をお聞かせ頂けたことでいつもとは違った角度からパーティーを楽しめたこと、ご縁をいただけたことを心から感謝いたします。
ちなみに、私の髪型は密かにお気に入りの下の方が作るつまみ細工を付けて行きました。
このような華やかなパーティーでは、
「もう少し大きめの髪飾りでも良かったかも?」
と、皆さんの髪飾りを見ながら感じていました。
こうしてきもの文化を学んでいる方々の着姿や髪型を研究することができるのも、きもの文化検定のパーティーならではの貴重な時間ですね。
以上でパーティーでのコーディネートや髪型の紹介は終わりですが、女性はやはり
「花よりだんご」
という美味しい物には弱い生き物。
今回のパーティーで用意されていた料理を紹介したいと思います。
きもの文化検定パーティーの料理のメニューは?
きもの文化検定のパーティーでは、毎年必ず呈茶席から始まります。
裏千家による呈茶席、掛け軸には「華心」お花は「梅に椿」
今回は総本家駿河屋さんのお菓子でした。
続いてお料理のメニューはこちら。
きっとどの料理も、季節やきものに関わる文化のことを取り入れたメニューだと思いますが、食べるのに夢中で説明が記憶にございませんでした。
ただ、デザートの色使いは上巳の節句を意識しているのかなと感じましたが、桃色のホワイトチョコムースが美味しすぎたことだけは覚えています。
呈茶席とお料理のレポはもう少し上手にできるように勉強しなければですね。
最後はきもの文化検定の気になるパーティーの内容を紹介します。
きもの文化検定パーティーの内容と豪華ゲストは?
きもの文化検定の公式ホームページによると、平成30年の総受検人数は、1908人で、合格者は1229人でした。
きもの文化検定公式ホームページ(https://www.kimono-kentei.com/)
そして、見事各級に合格した人が出席できるのが「合格者表彰式・記念パーティー」です。
このパーティーはその年の合格者に参加資格が与えらえ、1級合格者は永久参加資格がもらえます。
豪華ゲストをお迎えして行われるパーティーは、ゲストの方々のお話もとても興味深いところです。
今回の検定合格者表彰式パーティーも、主催会の野瀬兼治郎会長の挨拶から始まります。
続いて京都市長のお話です。
「きものは日本のあらゆる文化の基本です」
と、仰りながらワコール京都店にしか売っていない日本画が描かれたカラフルなズボン下を見せて会場を沸かせてくれました。
そして、いよいよ1級合格者から順番に表彰式です。
1級を最高得点で合格された方は、一昨年に3級を合格した際コシノジュンコさんから
「1級を取りなさい」
と言われたことが、今回の1級合格に繋がっているとおっしゃっていました。
毎年、わずか数%の合格率しかない1級を見事首席で合格された方のお言葉からは、その方にしかわからない苦労や努力がかいまみれます。
この検定を受けてみて1級の難しさが分かるからこそ、心からの祝福と尊敬の念を感じずにはいられません。
各級の合格者の写真撮影が終わったら、今回のゲスト「冷泉貴実子」さんのお話です。
「個性が重んじられる現代に、皆と一緒という文化も日本人が大切にしてきた文化」
とのお話をしてくれました。
そしてお腹の虫が鳴きだした頃に、毎年お馴染みのコシノジュンコさんが乾杯の挨拶をして、お食事の始まりです。
美味しい会食がデザートに差し掛かったころに、先ほどの市田ひろみ先生のファッションショーが始まります。
ステージで美しくポージングを決める皆さんは、とても素人とは思えないモデルっぷりです。
市田先生の鋭いトークが笑いを誘い、盛り上がるファッションショーも終わると、小紋屋高田勝の高田啓史さん挨拶で、パーティーは終了しました。
そして最後に忘れてはいけない方々「キモノでジャック」の発案者で文化検定広報委員の赤木南洋さんと、毎年会場を盛り上げてくれる司会の京女優こばやしあきこさんです。
こうして幕を閉じた今回のパーティーも、時間を忘れるほど充実した内容であっという間に終わってしまいました。
ご縁あり同じテーブルになった方たちとはSNSの交換で交流を続け、着物の和も広がります。
私はまだ3回した参加したことがありませんが、毎年ここで出会った人たちとの再開は、待ちどおしくて仕方ありません。
同じ趣味と同じ志を持った方達と美味しい料理を共にして、好きな着物に囲まれて、こんな至福の時はありません。
全てはきもの文化検定が繋いでくれたもので、文化の知識だけでなく人生を豊かにしてくれました。
生涯学習が取りざたされる現代に、こんなに価値のある学びは他には無いと感じます。
きもの文化検定のパーティーは、改めてそんなことを実感できる場所でした。
少しでも
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ランキングに参加しています。
もっと多くの皆さんに、着物の魅力をお伝えして着物仲間を一緒に増やして行きましょう。
文化検定合格者としてパーティーに参加しました!
会場内の雰囲気にただただ圧巻のひとことです。今回は準2級でしたが今度は2級目指して頑張りたいと思っております!きもの姿を見ると日本人でよかったと思います
文化検定合格おめでとうございます。
私も着物に出会って日本人の凄さを知ることができ、その文化に触れられることを幸せに思います。
次の検定にも挑戦されるのですね!次回は是非パーティーの会場でお会いしましょうね。