卒業式に着物を着て行こうと思った時に
「他のお母さんたちは、どんなコーディネートをしているの?」
か気になりますね。
着物だけでなく髪型だったり、バッグや帯は何を合しているのか知ることで、当日のコーディネートの参考にもなります。
そこで実際に子供の卒業式に行った時に発見した、母親の着物コーディネートや髪型を画像付きで紹介していこうと思います。
卒業式にいた母親の着物のコーディネートは?
今回の卒業生の235名に対して、会場には両親揃っての参列が多く見られました。
約230人前後の母親が会場にいた中で、着物姿は私を含め7人見えました。
この学年の入学式での着物姿は3名しかいなかった三年前に比べて、単純に考えて倍以上多くなっていたのは、着物好きとしてはとても嬉しい事実でした。
入学式は雨で、今回の卒業式は晴天だったということもありますが、社会的にも着物への関心が増えているのを感じます。
皆さん思い思いの着物コーディネートには、お子さんの門出を祝う思いが沢山詰まっていました。
着るもので思いを伝えることができるのも、着物ならではの文化でもあり奥深いところですね。
そんな7人の着物コーディネートを、早速紹介したいと思います。
①薄花色(うすはないろ)の一つ紋色無地に正倉院文様の袋帯
「花色」は藍(あい)の単一染めのことで、明るくうすい青紫色からは主張しすぎない上品さを感じられますね。
染め抜き日向一つ紋の色無地は、無紋の訪問着とほぼ同格と言われ使用用途が広く使いやすい着物で卒業式にもピッタリです。
金糸の入った正倉院文様の宝相華の袋帯を合わせることで格を上げて、卒業式のお祝いの意を込めていらっしゃいました。
30代の若いお母様だったので、変わり結びでコーディネートを楽しんでいるのも見ていてとても勉強になりました。
②京紫の植物文様訪問着に正倉院文様の袋帯
京紫とは京都で染めた紫のことで、赤みがかった紫の色をしています。
牡丹や菊など縁起の良い植物文様ですが、紋無しにすることで少し格をやわらげて身内のお祝い事の卒業式のコーディネートにしたそうです。
こちらのお母様も正倉院文様の宝相華の袋帯で、空想的な花文様が会場に華を添えていました。
③薄い桜色の色紙文様の訪問着に七宝の袋帯
薄い桜色の訪問着のおかげで、おだやかな春の気配とともに卒業式を感じることができました。
色紙文様は、和歌や俳句や絵を描く厚紙中に草花や風景を書き入れて文様化した縁起の良い文様です。
帯の七宝とは仏教で七つの宝物をさす言葉で、こちらの帯は七宝をつないだ「七宝繋ぎ文様」です。
さらなる繁栄、子孫の繁栄、人の縁・関係性の円満の意味を持つ縁起の良い文様。
こちらのお母様は地元で呉服店を営む方で、文様の意味や春らしい色を重視してコーディネートを考えられたそうです。
③枝花に燕子花(かきつばた)の袋帯
きれいな淡いグリーンの薄緑に華やかな枝花が爽やかな訪問着です。
訪問着の花の色に合わせた燕子花が描かれた袋帯で、着姿全体に統一感が出た取り合わせでした。
何かわかりませんが、着物の色目に合わせた洒落紋もアクセントになって見る人を楽しませてくれました。
④おばあさまが手紬で作った色無地
着物を着てらっしゃる方のおばあさまが糸一本から紡いで作った着物。
よく見ると節があり、味のある思い出の紬の色無地だそうです。
桜の回りを優雅に舞う蝶が、卒業式を一緒にお祝いしてくれているようでした。
仲良しママ同士で、言い合わせて着物を楽しんでいました。
⑥灰みのある淡い青色の地の小紋に石庭の名古屋帯
小紋は普段着用とされていますが、身内の式典の卒業式では自分が納得して着ている人もいますね。
京都の龍安寺の石庭を連想させる名古屋帯に金糸が入っているので、小紋に少し格上げをしたコーデネイトですね。
⑦江戸小紋の万筋ぼかしの訪問着にフクロウの袋帯
最後は私のコーデネイトで、江戸小紋の万筋ぼかしの黒訪問着です。
卒業式は洋服でもブラックフォーマルが多い印象があるので、毎回この着物に決めています。
年によって帯を変えるのですが、今回は「不苦労」「福来郎」という意味のあるフクロウにしました。
「苦労なくこの先も幸せになりますように」という意味を込めた誉田屋源兵衛三の袋帯です。
帯に子孫繁栄の「双魚」の根付を忍ばせて、これからも健やかに成長できますようにとの思いも重ねました。
以上が、今回の卒業式での着物コーディネートの紹介でした。
紬や小紋から訪問着まで種類はさまざまで、皆さん自分のコーディネートを楽しんでいるのが分かりましたね。
そして、着物のコーディネートと一緒に気になるのが髪型です。
お呼ばれ結婚式などと違い、身内の式典ではどの程度のきちんとした髪型にセットして良いのかわかりませんよね。
そこで、今回の卒業式の着物姿の人はどんな感じの髪型だったのか紹介します。
卒業式で着物を着た時の髪型は?
今回の卒業式で美容院に行って髪型をセットした人は、下の1人しかいませんでした。
付け毛無しでご自身の髪の毛を生かしたアップヘアで、控えめの金の髪飾りをワンポイントで付けていました。
この方は、着付けも美容院でお願いしたので髪型も一緒にやってもらったそうです。
他の方の髪型はショートの人はそのままで、ロングの人は洋服の時と変わらないシニヨンヘアをご自身でセットされて来てました。
写真がありませんので、和服に似合う自分でできる髪型の仕方を紹介している下の記事を参考にしてみてください。
ちなみに私の髪型は、前髪を立ち上げた抱き合わせを土台にまとめてみました。
卒業式だったので、髪飾りはあえて付けずにシンプルに仕上げました。
卒業式は身内ごとで朝も早いし着付けにも時間がかかるので、髪型はあまりこだわらない人が多かったですね。
ここまでが、今回の卒業式で見つけた着物姿の紹介でいたが、卒業式と言えば黒羽織を思い浮かべることもありますよね。
今回の7人の着物コーディネートを見てみていても、黒羽織を羽織っている人はいませんでした。
アンティーク着物や、ママ着物が流行っている現代で
「黒羽織ってどうなの?」
という紹介を最後にしたいと思います。
卒業式には黒羽織は着て良いの?
卒業式と言えば黒羽織というほど、昭和の時代には当たり前だったコーディネートですが、最近めっきり見なくなりましたね。
でもアンティーク着物やママ着物がある場合は、せっかくなので着ていきたいですよね。
そこで
「卒業式には黒羽織は着て良いの?」
について紹介している記事が下にあります。
こちらの記事は、黒羽織はどのような着物かや着方などを紹介しているので黒羽織を持ってる場合は参考になると思います。
他にも、卒業式に関する記事が二つありますので、良かったら参考にしてください。
以上が、今回の卒業式で見た着物コーディネートの紹介でした。
私は「卒業式=黒」のイメージがあるので、その場になじむように黒の着物を着ました。
というか、
「自分が主役でない場合は一歩下がった装いで」
と教わってきたので、その場になじむことを一番に意識しますが、その教えもそれぞれなのだということを、現場に行くといつも感じます。
我が子の成長を祝う式典なので、せっかくなので華やかな装いで祝う気持ちを表すのも有りということですね。
正式な決まりがある式典などとは違い、身内の卒業式などの場合あまり堅苦しく考えずに洋服と同じにマナーで考えるのが分かりやすいのではないでしょうか。
(地域や学校の風潮にもよってマナーやルールが違うこともあるので、自分の学校はどうなのか先輩方に聞いてみるのもよいですね。)
何が正解で何が間違ってるということを問うのではなく、お子様の成長を祝い新しい門出を共に願う気持ちを大切にしたコーディネートをしたいですね。