金糸や銀糸をはじめとした華やかな色糸を使い、吉祥紋様などの柄を刺繍のように織り出す
着物の世界では豪華な丸帯や袋帯によく用いられますが、着物では唯一、創業700年の歴史を持つ「永治屋清左衛門」さんで作られています。
「エルメスのスカーフ」の糸が着物や帯で使われているのは着物通の間では周知のことですが、実はその
エルメスのスカーフを使った着物の使用例を紹介した記事↓↓↓
こちらの帯でも使われています↓↓↓
しかし、その中でも最高級ランクの絹糸を使っているのは永治屋清左衛門さんだけ。
今回はその
- 最高級の糸
- 最高級の染織
- 最高級の技法
を使って作られた着物の弱点を見事にくつがえした、唯一無二の着物を、お知り合いが着用しているのを発見!
ちなみに帯は以前紹介したビロード織に金箔!の袋帯↓↓↓
トップ画面の着物と全く同じで、雑誌「美しい着物」や「着物salon」などに載っている物です。
フランス皇后ナポレオンの最初の妻、いわゆるお姫様「ジョゼフィーヌ」がこよなく愛したモチーフ。
それに代表するイギリスのロイヤルチューリップの意匠の着物。
コレまでも「希少・高級・珍品」など色々なお着物をお勉強させていただいたことがありますが、今回は違った意味で格の高いお着物。
ふぇ~!凄い世界があるものだ!
と、ちょっと他では聞けない業界人しか知らない裏の着物世界のお話などを聞かせて頂いたので、ココでシェアしたいと思います。
永治屋清左衛門さんロイヤルチューリップ!エルメルとの関係
永治屋清左衛門さんとエルメルとの関係はズバリ!絹糸にあります。
冒頭でも触れましたが、永治屋清左衛門さんの着物はエルメスのスカーフでも使われている世界最高峰の絹糸を作っている「ブラタク」社の中でも最高級ランク6Aの糸を使って作られた着物です。
ちなみにエルメスのスカーフは5Aです。
大手百貨店で取り扱われる世界各国のハイブランドのアパレルで使用されるのは3A
糸のランクは2A~6Aで、6Aを使っているのはエルメスと永治屋清左衛門さんだけ!
日本からブラジルに渡って成功したブラタク社のブラタクシルクは以前、世界一のシルクを決める大会(国際絹業協会主催)でトップになった絹糸(現在のトップは中国の山東糸)です。
ブラタクシルクの80%ぐらいはエルメスがスカーフを作るために買い上げてるそうです。
そもそも生産量が違うから仕方ないですね。
しかし永治屋清左衛門さんなぜ、そんな幻の絹糸を使うのか?
それは・・・
高度な技と緻密な作業を必要とする
コレまでも、幾度となく他のメーカーさんが唐織の着物を作ろうと多額のお金と時間を掛けて試みたのですが、どこ1つとして成功したメーカーはない難しい着物。
そんな着物を文化庁から依頼されて、織の原点でもある桃山小袖(唐織小袖)を復元している永治屋清左衛門さんだからこそ、必要な絹糸なんですね。
現代の唐織は、帯を織る技術であり、着物で織れるのは永治屋清左衛門だけです。
って言われるまで、唐織が帯しか無いってことすら知らなかったΣ(・∀・;)
話を糸に戻しますが、戦前の糸は「古代繭」といって日本古来の繭で形は小さくツヤや光沢も良い良質の糸がとれたそうです。
戦後は着物業界も最盛期を迎えるので、大量生産する為に繭も改良され、お蚕さんも大きくなりました。
そのため、糸も太く、つや、光沢も鈍くなったそうです。
現在日本に残るこの日本古来の繭で作られる絹糸は、
しかしブラジルに移民した日系人が持っていった蚕が古代繭の原種で、そこから始まったブラタク社の糸も日本古来の繭で作られる絹糸です。
その糸の6Aは小石丸よりも高価な糸です。
桃山時代の小袖などの復元をするために、ブラタク社の6Aが必要だった永治屋清左衛門さんはその糸を使って唐織の着物を作ってくれたのですね。
着物の一番の弱点何だかわかりますか?
ところで、着物の一番の弱点何だかわかりますか?
って、着物好きな人ならわかると思いますが、そう!
- 縮み(ちぢみ)
- 色焼けです
です。
お蚕さんの絹糸は回転をして一定の量にするのですが、雨や水が付くと作られた絹糸は「戻ろう!」という力が働いて縮がおきます。
しかし、永治屋清左衛門さんの唐織着物は、縦糸3,600本(一般的な着物で1,500本程度)と通常の2倍以上の糸を使いって緻密な織をしているので丈夫です。
そして、問題の色焼けです。
突然ですが、藍染がなぜ色が濃い方が良いとされるのか知っていますか?
と、また質問ですがw
答えは、昔お偉い様に藍染の着物を納める時に、直ぐに色焼けや色あせがあってはならないために濃くしたから。
本当に良質で高価な藍染は発酵建てではなく、すまし建てした色の薄い藍染だそうです。
誰もが自分の大切な着物をいつまでもきれいな状態で維持したいと思うのは当たり前の感情ですよね。
そんな着物好きさんの一番の悩みを解決するために、永治屋清左衛門さんが唐織の着物にほどこしたのは4.5級と言う高い※堅牢度(けんろうど)。
(一般的な糸で2.5~3.5級で染色されています)
※堅牢度とは・・・
色落ち・変色するの原因は日光・汗・洗濯などがありますが、それらについて一定の試験条件で得られる結果を数値化したものが染色堅牢度です。引用元: 参照記事染料プリントの前田ネーム
反応染料を使って、糸の中に専用粒子を入れて色を表現することで、目に見えない塵(ちり)やホコリが焼けて色が飛んでいく色焼けや色あせを起こしにくくしています。
パッと見ただけでは分からない!この着物の特徴は縮みや色焼けをしないこと。
唐織の着物ってだけでも凄いのに、糸や特徴を聴くと、とてつもなく高価なのにも納得ですね。
通称「天使の羽衣」唐織の着物の秘密
永治屋清左衛門さん唐織の着物のジャンルは、 え?こんなに柄が入っているのに無地~?
と私もはじめはビックリしましたが、永治屋清左衛門さん的には、園遊会や結納まで着れる格の高い位置づけにしています。
先染め糸で織ったお召も色無地感覚で使用して良いとされていますのでその感じでしょうか。
しかし、お召はしっとりしているけど張りがあり、どちらかと言うとしっかりとした生地感です。
その点、永治屋清左衛門さんの生地は実際に触らしてもらいましたが、しなやかで光沢があり、軽くて柔らかいです。
だから「天女の羽衣」と呼ばれているそうです。
そんな生地の特徴を生かして、唐織なのに極薄の夏着物があったり、長襦袢まで作られているのですね。
唐織の着物を作れる唯一無二の永治屋清左衛門
今回、紹介させて頂いた二重織物「ロイヤルチューリップ」を作っている永治屋清左衛門さんは先にも紹介しましたが、文化庁から依頼されて、
■源氏物語絵巻六の君の袿亀甲繋ぎに唐花丸文様の二重織物(永治屋清左衛門さんパンフレット参照)
■浅井長政婦人 お市の方打掛 立涌に丸に菊花紋様(永治屋清左衛門さんパンフレット参照)
■能楽金剛流宗家所蔵蝶松葉文縫箔(永治屋清左衛門さんパンフレット参照)
永治屋清左衛門さんの着物は、唐織の元と言われている二重織(ふたえおり)があります。
二重織りは平安時代から宮廷貴族に用いられた織物で、主に皇室の装束に使用され地紋を綾織りで、上柄を縫取で織る技法だそうです。
唐織の「唐」というのは、
中国の織り方ではなく、能装束のような豪華な織りの事を唐織といったらしいです。
京都府京都市下京区で700年という長い歴史を持つ永治屋清左衛門さん。
いつかは現地訪問してみたいです。
永治屋清左衛門さん。ホームページはこちら
下の地図(Google Map)を動かすと場所が確認できます。
(地図上のマカーをクリックすると詳細あり)
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