着物・・・本場黒黄八丈
帯・・・ビロード織網目金糸手箔袋帯
礼装のコーディネートに※箔(はく)で装飾された留め袖や袋帯など、よく見られますよね。
きらきらと輝く華やかな金や銀などがほどこされているだけで、一気に高級感がましてその場の雰囲気もぱぁ~と明るくなります。
今回ご紹介する帯は、その箔をビロード(天鵞絨)織の上にほどこした
題名にもあるように、この帯今までに無い奇跡の帯なんです!
何が奇跡かと言うと、箔置きの技法を知ってる人ならお気づきだと思いますが、
着物や帯の上に、1枚の紙状にした箔を色々な技法で装飾していく箔置きですが、地となる物がある程度固定されていないと、箔を貼り付けることができません。
ビロード織は、洋服でも使われるので着物に詳しくなくても一度は見たことありますよね。
手でなでるとフワフワとしっとりした、厚みのある生地です。
この
「確かに、そう言われると今までビロード生地の上に箔が置いてある物って見たことないかも!」
そう感じたあなたのために、今回はどのようにこの奇跡の帯ができあがるのかを、画像付きでお伝えしようと思います。
金と銀だけでも他の色とのコントラストも効いて十分に際立つのに、深海のようなブルーや透き通るような優しいピンクの箔など・・・。
まるで、ステンドグラスのようにいくつもの色の箔を使った、トラマティックな箔の帯たちも出てきます。
まるで帯の中の宝石箱や~!
の世界をお楽しみくださいね。
目次
奇跡の帯はステンドグラスのようなビロード手箔袋帯
生地にツヤがあるのになめらかな質感。
一見きらびやかだけど合わせる着物によって
そんな、ビロード手箔袋帯達はこちら。
金銀だけでなく、薄いピンクや緑も箔なんですよ!
シックで洗練された大人の色づかいがわかりますか?
柄の縁取り以外の色はすべて、箔を置いて色のコントラストを付けています。
光の質や角度によって、いくつもの表情を見せてくれるのも箔の特徴。
甘すぎないグラデーションを演出してくれる、オーロラ部分も貝箔です。
実際に動かして、光の加減で移りゆく箔のトーンや程よいボリュームのビロードの質感をお伝えできないのが残念!
写真に映ると、その上品な風合いがお伝えできないので、着物はタレもの(染)が合いそうですが・・・
実際の帯は、あえて節のある紬やシャリ感のある大島など普段着にもしっくりきます。
ラグジュアリーな場所はもちろん、あえてカジュアルなランチの普段着として「さり気なく大人」のワンシーンを作り出す楽しみ方も。
あ~いつかは、こんな女性っぽいのに甘すぎない大人のアイテムを使ってみたいですね。
って、ここまでの紹介で「へー素敵な帯!」で終わっているあなた!ちょっと待って!
こんな素敵な帯どうやって作られてるか知りたくないですか?
それに・・・
この画像だけだと、どこがビロードでどこが箔なのかイマイチわからないですよね
ここからお伝えする箔置きの技法で、そのモヤモヤな気持ちがスッキリ解消されますよ。
ただのおしゃれな人ではなく、私がおすすめする、
着物の染織文化、「伝統」「技法」「工程」などもしっかり自分の知識にして、着物を楽しんでくださいね。
どうやって作ったの?ビロード織に箔を置くには?
この帯は、昔から着物や帯の装飾で行われる伝統的な箔置きの技法で作られています。
まずは下絵
この下絵を元に、帯の柄となるビロード生地に特殊な樹脂のりを乗せていきます。
下の赤い生地がビロード織。
そこに白く塗られているのが樹脂のり(接着剤)です。
こののりが、今までできなかったビロード織の上に箔を置くと言う技法を実現した企業秘密の特殊なのりです。
この樹脂のりの上に箔を乗せていきます。
①まずは、下の竹筒に金箔を入れていきます。(竹筒の底に網目の金網が貼ってあります。)
②そして、ゆっくりと筆で箔を振り落としていきます。
③落ちてきた箔を刷毛で樹脂のりに固定させます。
④最後に余分な箔を吸い取リます。
後は箔が剥がれないように、特殊なのりで全体をコーティングして完成です。
のりを塗った生地の上に箔を細かくした金粉(砂子)を振り落として貼り付ける技法を「砂子技法(振り金技法)」と言います。
振り落とす箔には色とりどりのバリエーションがあります。
まずは定番の純金箔とプラチナ箔
通常、純金箔の方が
他にも青貝箔など、箔を焼いて色を作っていく「焼箔」という箔もあります。
どうやって、箔を焼いて色を作って行くのかほんとに不思議!箔置き職人さんに聞いても、
「箔を作る人じゃないと分からない」
と、言われてしまいました・・・。
う~ん・・・余計に気になる!分かり次第追記しますね。
今回は他の技法で箔を置いてる帯もあります。
縁蓋(えんぶた)とは?最古の技法摺箔 (すりはく)
まずは、縁蓋(えんぶた)と呼ばれるシートをのりが塗られたビロード織の上に置きます。
①箔を置きたい部分だけカッターで慎重に縁蓋を切り抜きます。(ビロード織に傷がつかないように丁寧に)
②くり抜いた部分に箔を振り落としていきます。
③刷毛で箔を樹脂のりに固定していきます。
この技法は摺箔(型箔)と言われ、金彩の中でも最も古く桃山時代からある技法
どうですか?箔置きの技法がなんとなくわかりましたよね。
一見簡単に思えますが、のりの接着具合や、その日の湿度や気温、風があるないなど数々の状況に合わせて加減を調節していく
でも、帯にするにはここからも匠の技が必要な
ここまで見てきた工程は、ビロード織に箔を置く技法・・・。
すなわち、帯の柄の部品だけを作ったのです。
この部品を帯に縫い合わせて、1枚の帯の完成です。
このカーブの多い部品を帯に縫い付ける
切嵌とは・・・
和服の模様の一つ。アップリケに似た手法で,異種の小布を継ぎ合わせたり,置き重ねたりして複雑な模様を構成する。特に室町末期〜桃山時代に小袖(こそで)や胴服の模様付けとして流行し,当時渡来した高価な布地を効果的に使用した。後にはこの様式を染模様でも表すようになった。
引用元: コトバンク
最近見られる切嵌は直線縫いが多いのですが、今回の帯のように女性らしい印象のカーブが多い切嵌は産地の西陣でもできる職人がほとんどいないのです。
年々、様々な分野での職人さんが不足していますが、このような工程の職人さんも今では稀少な存在なんですね。
トップ画面の帯は秘密材料がもう1つ
ここまでは「箔置き」「切嵌」という技法をお伝えしてきたのですが、トップ画像の帯にはもう一工程「金糸」を乗せてできあがります。
よーく見ると金糸が散りばめられてるのがわかりますか?
これは、下のようにあらかじめ金の糸をつなぎ合わせた「網目金糸」を使い貼り付けていきます。
この網目金糸も様々な色のバリエーションがあるので、帯地やビロード織柄にあわせてセレクトします。
そしてこちらも、最後に切嵌を行って完成です。
帯芯にも銀を使っていて、すけ感のある帯地からのぞく帯芯が箔と金糸が散りばめられた柄にしっくりマッチしてますね。
ここまでが、今回お伝えしたかった「奇跡の帯、ビロード織手箔袋帯」の作り方でした。
自分が着ている着物や帯や「これ、すてきだなぁ~」て思っている物が
それに今よりもっと自分らしくおしゃれな着物の着こなしをしたい!と思っているあなたこそ・・・
- 着物や帯にはどんな種類があるんだろう?
- この帯、どうやって作られてるの?
- この柄、どの技法で書かれたの?
- この着物、どうやって織ってるの?
など、着物が作られるまでの「技法」「工程」「歴史」などの着物の文化を知ることが、
ぜひ、「知ること」を初めてくださいね。
この帯を作ってる人は?夏大島に〇〇染も!
最後に、今回この帯を作っている職人さんの紹介です。
京都の西陣で箔を取り扱う小山さん、1枚1枚帯を取り出しては使っている箔の説明や着物との合わせ方など、職人さんならではの、
着物や帯に限らず、箔で色々な物を作っているそうですが、今回は夏大島紬にロウケツ染めをした訪問着も手掛けたそうです。
図案の構想からロウケツ染めまで、箔置きだけではとどまらず多彩な才能をお持ちの気さくなお兄さんでした。
今回、ご紹介した帯達は博多織の「はかた匠工芸」さんで取り扱っています。
ビロード織も、切嵌も京都の西陣の技ですが、「匠の技」ということで匠工芸さんだそうです。
以前私が、工房見学で博多織の工程を丁寧に教えてくださった所ですね。
こちらの記事から↓↓↓↓
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