「染匠」という、仕事があるのをご存知ですか?
京都でも代表的な手書きの友禅染め「京友禅」を作るには、
まっさらな反物から、華やかなのにしっとりと品がある着物にでき上がるまでに約20工程ほどある京友禅は、1工程ごとに専門の工房(職人さん)が担当するいわゆる「分業制」で成り立っています。
下絵だけを書く工房があったり、色挿しだけを行う工房があったり、リレー方式で一つの着物を仕上げていくイメージです。
工程が20あるということは、20人の職人さんが居るということ。
その一人ひとりに
- 最終的にどんな着物にしたいのか?
- そのためには何をすればよいのか?
などを伝えながら、次の職人さんにバトンを繋いでいく、すなわち
今回はそんな染匠の仕事を70年続けている「染匠市川」さんの工房見学をさせてもらいました。
卓越した感性とセンスを持つ染匠市川さんならでわの、古典的な意匠に現代的な色彩で、誰もがうっとりと見とれてしまう伝統的な手描き京友禅の世界。
早速レポートしたいと思います。
京友禅染匠市川さんとは
京都市を南北に走る室町通り沿道の地区。
繊維問屋街の一角にある染匠市川さん。
社屋に入ってまず目にとまる反物達は、創業70年の「染匠市川」だれもが憧れる優美で華麗な作品の数々。すべて三代目の染匠「市川昌史社長」の指揮のもとに作られたものです。
そんな染匠市川さんは、普段からユーザーの私達にも、予約制で工房見学を受け付けてくれています。
「染匠市川」では、少しでも一般の方に着物がどのようにして作られているのかということを、目で見て実際に感じてもらいたいという思いから、友禅工房を見学できるようにしております。
工房内では、下絵や仕上げの職人さんが仕事をしている時もあり、タイミングが良ければ友禅以外の工程に触れることもできます。
また、簡単に実物パネルや実際の反物で着物ができるまでの工程を簡単にご説明させていだだきます。
今回は、きもの文化検定がご縁で見学をお願いしました。
染匠市川さんのセンスが光る仕事の内容
まずは市川社長自ら、染匠の仕事の内容をわかりやすくボードを使いながら説明してくれます。
染匠という仕事は各工程のできあがりをチェックしてから、次の工程の職人に持っていき指示を出す。
その繰り返しだそうです。
職人と職人の真ん中で、工程を管理してコントロールするのが染匠の仕事で、同じ工程の職人さんでも得意不得意があるので、一人ひとりの特徴を把握して適材適所に仕事を渡す。
普段から職人さんとコミュニケーションを取ってるからこそできる内容ですよね。
市川さんにも専属の職人さんはいますが、ほとんどが個人で自宅でされているのだとか・・・。
1枚の着物を作るには、発注先の意向や社長自らの案で、着物や帯の構図・図案を決めていきます。
伝統的な技法を守りつつも現代的な意匠にするためにも、普段から女性物のファッション雑誌やウィンドウショッピングで配色美や今どきのテイストを勉強するそうです。
他にも、社内に保管されている沢山の参考書からヒントを得ることもあるそうで、古典やモダンを問わない膨大な量の参考書も見せてくれました。
壁だと思っていた場所が動く資料棚だったのにはびっくり!
中々見ることができない貴重な資料に、皆くぎつけです。
私達が分からない事も丁寧に説明してくれます。
続いて、実際に完成した着物を持ち出し
その着物の柄付けはどのように行われるのかを紹介してくれます。
上の画像に色挿しをしたら↓になる。
みんな実物の工程過程を間近で見れるので、とっても真剣。
細かい工程はiPadで動画として用意してくれています。
動画でみると、工程も分かりやすい!
京友禅の20の工程は、ある程度着物の知識がある人でも、実際に見てみないと分からないことばかり。(一度見ただけでも分からないことばかりw)
工房見学をする前に、一通りの工程を教えてくれるので、初心者でも
「なんとなーく、分かった!」
という、嬉しい声がありました。
せっかく見学に来たのだから、何かしら学んで帰れるようにと、
「少しでも工程をわかりやすく伝えたい!」
と言う社長の思いが伝わります。
職人さんに自分の描く完成図を伝えるのがお仕事だけあって、とても説明が丁寧で理解しやすかったです。
社屋にある工房見学
ある程度の予習が終わったらいよいよ、隣の部屋にある工房の見学です。
先に社長が説明してくれた内容を、順番に見せてくれます。
こうして、使われる道具や材料をみるだけでもワクワクします。
ありがたいことに参加者が多かったので、順番待ちです。
まだまだ、完成でもないのにこの時点で配色美にうっとり。
細かい色挿しももちろん手描きです。
毎回どこの工房見学に行っても共通して感じることは、職人さんが若い!ということ。
日本の伝統文化を伝承できる職人さんが減っている現代、こうして若い職人さんの育成にも力を入れている市川さんです。
今回は、完成のできばえを最も大きく左右する色挿しの工程を見学させていただきました。
配色が変わるだけで、同じ柄でも全く別物のイメージになるため、現代的なセンスと感性が必要なのが見ていてとても理解できました。
多くの着物雑誌やメディアにも取り上げられる染匠市川さんの京友禅の美しさは、負頃から研究熱心な市川社長のもの作りのこだわりにあるのですね。
今回の参加者の皆さんと
最初は10名ほどの参加者を予定ていたのにも関わらず、総勢14人の大所帯を快く請け負ってくれた市川社長には、本当にありがとうございました。
見学が終わっても、参加者のみなさんと楽しく談笑されるご様子。
当日は雨模様だったので、ポリエステルの着物を着てきた参加者とも、最近の着物についてのお話も。
この後もまだまだ、染匠市川さん工房見学ツアー?は続きます。
ひとまず今日はこの辺で。
次は、参加者の皆さんのコーディネートなども合わせて紹介したいと思います。
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