卒業式母親着物江戸小紋

卒業式はフォーマル着物が基本であることは何となく分かるとしても、下のような思いが頭をよぎることがありますね。
 

  • どの程度のフォーマルなら許されるの?
  • そもそも着物のフォーマルって何?
  • 色や柄はどうすればよいの?
  • どんな種類がマナー違反になる?

 
自分の子供の卒業式で母親が失敗しないように、基本はしっかり押さえておきたいところです。

そんな中、最近の着物ブームの影響で小紋などの普段着着物はあるけど、フォーマルの着物を持っていない場合もあるのではないでしょか。

「わざわざ、礼装用の着物を買い足すのも・・・」

と思いつつも卒業式は式典だし、普段着用の小紋を着て参列して良いのか悩みますよね。

そこで実際に卒業式に行った時の様子などから、当日の母親の着物「小紋」について紹介したいと思います。

トータルコーディネートをしやすいように、卒業式に合わせるバッグやストールなどの小物類についても紹介します。

卒業式で母親が着る着物は小紋でも大丈夫?

卒業式のような式典に出席する時は、一般的にフォーマル着物と決まっています。

フォーマルとは「正式な」という意味で、フォーマル衣装とは人間関係を円滑にするために、相手を敬い思いやる気持ちを込めた衣装のことです。
 
卒業式で言う「相手」とは自分の子供だけでなく、お世話になった先生方や一緒に卒業を祝う会場に居る全ての人をさしますね。
 
 
そのような背景を考えると、ますます普段着用の小紋を着ても良いのかを悩んでしまいますね。
 
 
私は子供が多いためこれまで13回の卒業式に出席していますが、保護者の着物の種類はほんとに様々で、小紋の帯付きの人も見たことがあります。
 

帯付きとは羽織ものを着ない、帯が丸見えの着姿のことを言います。

 
■帯付きの着姿
卒業式小紋

 
皆さん色や柄も様々で、手持ちの着物を思い思いに着こなしている感じです。
 
 
そもそも小紋は普段着なので、卒業式などの式典にはあまり相応しい種類とは言われていませんが、実際は小紋で出席している人はいます。
 
 
しかし、洋服でいうとジーンズ的な位置付けの小紋だと、あまりおすすめな装いとは言えませんね。

昭和40年代は小紋に絵羽模様の黒羽織を着ることで格を上げて、卒業式や入学式に出席する母親が多くいました。
 

※格とは、そのものの値打ちによってできた段階・位・身分・等級などを表すものです。

着物の場合は、着物の「種類」「文様」「紋の数」「帯との組み合わせ」など様々な違いで格が変わってきます。

 
訪問着などの高価な着物を買えない時代に、手持ちの小紋に黒羽織を合わせてフォーマルな装いにしたということですね。
 
最近は黒羽織姿の母親はめっきりいなくなりましたが、どうしても小紋を着たいのなら、下の記事を参考に紋付の絵羽模様の羽織を着て格を上げると良いですね。


 
 
小紋がおすすめでないなら、実際はどのような種類の着物が卒業式に相応しいフォーマル着物なのかを紹介します。

卒業式に母親が着る着物の種類は何?

卒業式には準・略礼装と言われる格のフォーマル着物を着ていくのが相応しいといわれています。
 
 
柄や紋の入れ方にもよりますが、下の種類の着物が準・略礼装として卒業式に着ていくと良いと言われています。

  • 訪問着
  • 付下げ
  • 色無地
  • 江戸小紋

 
 
小紋でも、江戸小紋という種類の着物は柄と紋の入れ方によっては準・略礼装になります。
 
 
そんな江戸小紋は下の画像の三役「鮫」「角通し」「行儀」が一番格の高い模様です。
 
鮫(さめ)
 鮫(さめ)
 
角通し(かくとおし)
角通し(かくとおし)
 
行儀(ぎょうぎ)
行儀(ぎょうぎ)
 
上記三役にプラスして、下の画像の「大小(あられ)」「万筋(まんすじ)」が加わると、江戸小紋五役と言って他の江戸小紋よりも格が上がる種類になります。
 
大小(あられ)
大小(あられ)
 
万筋(まんすじ)
万筋(まんすじ)
 
 
江戸小紋五役に紋を入れると『略礼装』になるので、小紋でも江戸小紋なら卒業式にピッタリな装いになりますね。
 
 
卒業式の場合は主役が子供で、母親は付き添いという立場なので一歩下がった装いになるように気を付けましょう。
 
 
金糸銀糸が強い煌びやかで華やかな着物より、ブラックフォーマルが主流の卒業式はで、少し控えめな色や柄を選ぶと良いですね。
(地域によって違うので、先輩ママや先生などにあらかじめ地域性を聞くと良いですね)
 
 
実際に私が卒業式に参加した時の、お母さんたちの着物コーディネートを下の記事に紹介しています。
 
着物の種類や色柄も皆さんそれぞれですが、会場の雰囲気など分かるので当日の装いを考える時の参考になると思います。


 
 
卒業式に着物の種類を考えると共に、

「何を合わせれば良いの?」

と頭を悩ませるのが、コーディネートに必要な小物達です。
 
 
特に、卒業式はカメラやスリッパなど何かと荷物も増える式なので、鞄(バッグ)の種類も悩みのどころ。
 
そこで、まずは卒業式の着物に合わせるバッグは何が良いのか紹介します。

卒業式の着物にピッタリなバッグは?

お子さんの卒業式のフォーマルな装いは、トータルコーディネートのことでバッグをはじめとする草履などの小物達も該当します。
 
 
卒業式にピッタリな準・略礼装のバッグは派手なものを持たず、シンプルさを心がけると良いですね。
 
ブラックフォーマルな装いの中、

「小物ぐらいは・・・」

と思いがちですが、母親は脇役!ということを忘れないようにしましょう。
 
 
基本的に光る素材のバッグや、ブランド物のロゴが入ったものはNGとされています。
 
しかし、卒業式のために新たに購入するのも大変な場合は、NGと分かったうえで比較的落ち着いたデザインの手持ちの物でコーディネートすると良いですね。
 
 
実際にはどんなバックがおすすめなのかを4点ほど紹介します。
 
 
■ゴブラン織り 横型バッグ 

 
 
■西陣の組織でできた利休バッグ

 
 

■博多織の利休バッグ

 
 
■西陣織の利休バッグ

 
 
色や柄は、帯や草履と揃えてコーディネートを考えると、上品で着姿全体にまとまりが出ます。
 
 
着物の場合のフォーマル草履は、

「白が無難」

と以前きものスタイリストの大久保信子先生が仰っていました。
 
 
下の記事で紹介している最近流行りのカレンブロッソのカフェ草履は、カジュアル草履なので卒業式には避けた方が良いですね。
 


 
以上が、卒業式にピッタリなバッグの紹介でした。

ほとんどが形の小さなものなので、カメラやスリッパなど荷物が多い卒業式は、折りたたみできるサブバッグを用意しておくと便利ですよ。
 
 
最後にフォーマル着物にありがちな扇子や、寒さ対策のストールはどうすれば良いのかを紹介します。

卒業式の着物の扇子やストールはどれをすればいいの?

卒業式で着る準・略礼装の下の着物では、扇子をさしても大丈夫です。
 

  • 訪問着
  • 付下げ
  • 色無地
  • 江戸小紋

 
 
扇子の種類は、黒い骨の祝儀扇でも白い骨の祝儀扇でもどちらも使用できます。

パール加工や貝細工などのオリジナルデザインの扇子を、そっと帯に忍ばせるのも着物特有の見えないおしゃれですね。
 
 
お祝い色の強い金銀ではなく、着物の色に合わせた淡く上品な色味の扇面のものを選ぶのがおすすめです。

薄い色味の扇子は普段遣いにも使用することができ、色々な場面使えるので一本あると便利ですね。
 
 
また、卒業式の時期は地域やその年によって、まだまだ寒さが厳しい日もあります。
 
そんな時は、肩からの冷え対策にストールを羽織るのは得に問題はありません。
 
 
ただ、式場内では羽織ものは外して出席するのがマナーなので、自宅から会場までの道中や外での装いのみにしましょう。
 
 
他にも、卒業式の寒さ対策でおすすめな羽織ものは下の記事で紹介しているのでよかったら参考にしてください。
 


 
卒業式が寒すぎて風邪をひいてしまったでは、せっかくの思い出も台無しなので、気候に合わせた工夫をすると良いですね。
 
 
以上が、卒業式に参加する母親の着物の装いの紹介でした。
 
 
大切なお子様の卒業式は母親にとっても特別な一日なので、衣装にもこだわってお祝いしたいものです。
 
着物は装いでお祝いの意を表現できる唯一の衣装です。
 
 
しかし、普段から着物を着ることが無くなった現代では、正式な一式を揃えていないこともあります。
 
「卒業式のためにわざわざ購入するのももったいないから、着物を着るのはやめよう」

となるくらいなら、今回の記事を参考に基本をわきまえたうえで、手持ちの物で上手にコーディネートをしてみることをおすすめします。
 
知らないで行うのと知ったうえで行うのは全く違いますが、実際の卒業式には洋服でも和服でも、様々な人が見えますからね。
 
 
「大切な一日に着物を着て出席したい」

と思った気持ちを大切に、まずは着ることを優先して卒業式が素敵な思い出になると良いですね。