二十四節気の雨水(うすい)2月18日頃から、早い地域では梅まつりが開催されます。
体感ではまだまだ寒い時期ですが、梅が満開になる頃には春の訪れもすぐそこに。
気づいたら、
「今日、何だかすごく暑いね!」
という日もちらほら出てくるこの時期は、衣替えを意識し始める頃でもありますね。
洋服と違い着物の衣替えとなると
「なんだか、決まりやルールがあって難しそう・・・」
と思われがちですが、実は
せっかく着物を着れるのなら肩肘はらず、もっと手軽に着物を着る回数を増やしたいですもんね。
ひんやりと寒くて外出も控えていた冬から、ポカポカ陽気でお出かけするのも心地よい春の季節。
【冬から春】着物の衣替えの時期はいつ?
冬に着る※袷(あわせ)の着物から春に着る※単衣(ひとえ)の衣替えは
※単衣の着物・・・裏地の無い着物 (生地が1枚(ひとつ)と考えると覚えやすい)
衣替えの時期は洋服と同じですね!
単衣の時期は6月1日~6月30日の1ヶ月間。
7月1日からは、夏に着る薄物(うすもの)に衣替えをします。
10月1日~5月31日・・・袷の着物
6月1日~6月30日・・・単衣の着物
7月1日~8月31日・・・薄物の着物
9月1日~9月30日・・・単衣の着物
という事は、4月や5月の真夏日とも言える30度近く迄気温が上がる日にも、裏地の付いた袷を着ることになります。
でも、そんな暑い日に裏地の付いた袷なんて着たら、ただの我慢大会や罰ゲーム
洋服で考えても4月にTシャツ1枚でも丁度良い日ってありますよね。
そんな日でも、着物は決まりだから袷を着なくてはならないなんて、ナンセンスです。
他にも、長襦袢や帯にも単衣の時期用のアイテムに変えなければなりませんし、厳密に言うと半襟や帯締め帯揚げですら単衣の時期用の物があります。
もー!考えなければいけない事ばかりで、大変
と、現代の気候とのズレや、決まりとされてるアイテム選びなど何かと考慮する点が多いから、着物の衣替えは
「難しい」
と感じてしまうんですね。
そこで今回はまず、そんな紛らわしい着物の決まりやルールを簡単に解決するポイントをお伝えします。
もう悩まない!着物の衣替え簡単ポイント
着物の衣替えの際に考慮する簡単なポイントをズバリ!お伝えします。
”着物の決まりやルールの捉え方”を理解して、
「ん?なんだか直接衣替えには関係ないのでは?」
と思われたかもしれませんが、このポイントを意識するかしないかで
「何を着れば良いのだろう?」
から
「これを着たいし、あれも着たい!」
に変わります。。
着物を楽しむのに一番の問題決まり事やルールの本質を見極めて理解することで、
特に、着物を初めたばかりの頃は決まりやルールをどのように捉えれば良いのか?悩んでしまう内容ばかりです。
しかし、
- 着物の決まりやルールは歴史や時代によって変わるもの
- 着物の決まりやルールは専門家でも意見が真逆の時がある
- 着物の決まりやルールは守らなければいけないときだけ守れば良い
- 着物の決まりやルールは知っている上で崩すのは個人の自由
上記を理解してから
- どんな素材を選んだら良いのか?
- 長襦袢は何が良いの?
- 帯や小物はどうするの?
の知識をつけましょう。
そうする事で、自分の立場やその時の環境や状況を考慮した上の、最終的な自分ルールができあがり
なので、まずは上記「着物の決まりやルールのポイント」を私の実体験を混じえながら簡単にお伝えします。
その後に、冬から春にかけての
私の場合はこんな風に考えるよ!
という例も合わせて紹介しますので、簡単ポイントを思い出しながら
「私だったらこんな風に考えるかな?」
とか、
「いやいや、そんな風には考えないな!」
など、自分なりのルールを決めるならどう考えるか?を想像しながら読み進めてくださいね。
着物の決まりやルールは歴史や時代によって変わるもの
着物の決まりやルールは歴史を紐解くと、その時代じだいの思考や物の価値、捉え方、立場、風習、宗教思想など様々な要因で変化をしていくことがわかります。
例えば、室町時代(1336年~1573年)から江戸時代の(1603年~1868年)の初め頃は夏と冬で年2回しか衣替えはしていませんでした。
その後、江戸幕府によって武家での衣替えを、以下の三つの種類の着物を四季に合わせて制度化されています。
- 帷子(かたびら)・・・裏地のない今でいう単衣の着物
- 袷・・・裏地のある着物
- 綿入れ・・・表地と裏地の間に綿を入れた着物
しかし現代は、当時に比べると、気温も高くなり冷暖房も完備、ドアツードアで移動もできるようになって綿入れの着物なんて必要ないのがわかりますね。
以前は綿入れを着ていた季節には袷の着物を着るようになり、夏には江戸時代には無かった夏物の着物を着るという具合に、いわゆる「決まりやルール」は変わってきています。
そして衣替えの時期ですら、明治6年より以前の旧暦(太陽太陰暦)から新暦(太陽暦)に政府が急に暦を変えたことにより半月からひと月程ズレがあります。
一般的に冬から春にかけての衣替えのタイミングとされている6月1日で見てみると、近々では下のように日にちのズレがあります。
2020年の6月1日を旧暦で見ると4月10日
2019年の6月1日を旧暦で見ると4月28日
温暖化により年々暑い日が多くなるうえ、暦の上でもこれだけの違いがあるのに、6月1日衣替えルールを守っていては本来の身体を守るためのモノとしての役目も果たせなくなります。
そして、これらの決まりやルールはもともと武家や公人などある程度の立場がある人向けのものでした。
それが、私達一般人に定着するまでにはどの時代もタイムラグがあります。
今の時代の
しかし多くの人が皇族でもなければ、公人でもありません。
私達一般人は多少の立場は違えど、一般人!
”絶対に守らなければいけない”なんて立場ではありません。
着物の決まりやルールは専門家でも意見が真逆の時がある
私が着物を始めてから年々感じることは、着物の決まりやルールほど曖昧でいい加減なものは無いと言うことです。
実体験からのリアルな感想です。
と、いうのも。
コロナが始まる前までは月に最低2回は、色々な呉服屋や着付け教室が開催するイベントや展示会に顔を出し、産地の人や作り手さんから直接新作の帯や着物を見せてもらうのが日課でした。
時には産地に出向き、実際に作っている工程を見せてもらう着物好きあるあるの典型的な行動パターンです。
他にも、週イチ着付け教室での先生や着物上級者さんとの会話。
そんな日課で知り合う人達は毎日着物60年の方や、産地で先生と呼ばれる着物職人や呉服店店員一筋何十年の上級者さんというかプロの人ばかり。
しかし、そんな上級者やプロの人たちに限って
「真冬でも単衣しか着ないよ」
「12月でも透けてる羽織も着たければ着れば良い」
「大島紬で結婚式に出席するよ」
と一般的な決まりやルールではタブーとされている着こなしを堂々としています。
後にお伝えする、歴史や決まりを知っている上の着こなしですが、知っているならルール通りでなくても大丈夫ということは、裏を返せば
「私、着物の決まりやルール知っています!」
と、言い切ってしまうこともあるという事です。
そんな意味ではなく、
「何も知らない初心者の頃は、とにかく着ることが大切・・・・・。」
と、入り口を広げてくれてる発言だと思いますが、となると初心者は何でもありで上級者はそれなりの着こなしを!という事?
だけど、上級者こそ着こなしは自由にしてるし・・・?
そんな曖昧な決まりやルールじゃ初心者はどう捉えて良いのかわからない!
って感じてしまいますよね。
他にも、Aの呉服店で
「卒業式にはこの訪問着が良いですよ」
と進められた着物を、Bの呉服店に見せたら
「こんな着物で卒業式に出席できません」
と言われたり(汗)、プロの方でも全く見解が違うのです。
こんな体験をしたら、周りの目を気にして着物の決まりやルールを必死に悩むのが馬鹿らしくなってきませんか?
着物の決まりやルールは守らなければいけない時だけ守れば良い
守らなければならない時・・・。
その時ですら人それぞれ違います!
「結婚式は相手方もあることだから、絶対に決まり通りの着こなしをしなければならな」
と捉える人もいれば、
「身内の式典だし着物の歴史や決まりを知っている上で、結婚式ならある程度は自分なりの着こなしで良い」
と考える人もいます。
多くの人が「守らなければいけない時」と感じる結婚式ですら、人それぞれ違うのです。
その一つに、「着物のやまと」の社長が以前出版した本の中に、一般的に普段着の位置づけの大島紬(おおしまつむぎ)を堂々と結婚式に着ていくと公言しています。
きっと、着物のプロの中には「結婚式に普段着の大島紬なんてありえない!」という意見の人もいる事でしょう。
先にもお伝えしましたが、多くの人は公人でも皇族でもない一般人です。
守らなければいけない時も、人それぞれの捉え方や考え方で違っているということです。
着物の決まりやルールは知っている上で崩すのは個人の自由
着物の世界ではよく言われる言葉で、ごもっともだと思います。
しかしこんなことを言っていたら、本人の考え方でいくらでも言い訳できますよね。
- 「着物の決まりやルールは、本当は知らないけど知っているていで着よう」
- 「着物の決まりやルールは、本当に知っているけどあえて自分の着こなしてるのよ」
- 「そもそも、着物の決まりやルールなんて関係ない!私はわたしよ」
着こなしだけではその人の思考まで区別できないし、
「知識がある上での着こなしです」
と言われればそれまでです。
そんな事言いだしたらどの世界でも同じで、百人百様きりが無いですけどね。
以上が、着物の決まりやルールの捉え方です。
時代やその人の考え方で変わってしまう、いかに曖昧でいい加減な基準であるとの意味が少しはおわかりいただけたでしょうか?
だからこそ、本質は何なのか?を自分自身で見極めて自分ルールを確立しなければ、いつまでも他人の目を気にしたり、安易に手に入る人の意見に惑わされてしまいます。
それに、一番大切な
着物の歴史や文化から得られるコトは、一言では説明できないほど沢山の価値をもたらしてくれるのに勿体ない!
なのであえて、着崩すのではなく自分なりの着こなしを!(自分ルール)できるようになりましょう。
それに、着物の歴史や決まりやルールを知っている上での自分なりの着こなしは、何より自分自身の着物の幅を広げてくれます。
着物だけの問題ではなく、
物事の本質を見極めることは、自分を守るための唯一の方法でもあります。
「本当はこんな着物買う必要が無かったけど、店員さんに進められたから買ってしまった。」
「着付けの先生に確認してもらい、良いと言われたコーディネ-トだけど、出先で他の人に否定された。」
など、全ての基準が「人様」ではなく、
自分の意志や判断で決まりやルールを考える本当の意味での個人の自由になるためにも基本的な決まりやルールの知識をつけましょう。
では次に「着物の決まりやルールの捉え方を理解して、自分ルールを決める」ために、基本的な現代の衣替えの決まりやルールと言われていることをお伝えします。
【冬から春】着物の衣替えの生地の決め方
第一章でお伝えしたように、
しかし、4月や5月でも暑い日は春用の単衣の着物でも大丈夫です。
最近は20度前後で、冬用か春用の着物を着分けるという意見が多いですが、私は当日の朝に一旦外に出て体感で決めています。
20度を寒いと感じる人もいれば暑いと感じる人もいるし、その日の自分の体調でも変わってくるから・・・。
その日の身体の声を聞いて
他にも、その日のコーディネートの具合で
「どうしてもこの着物が着たい!」
と思うときは、多少外気と体温の相違があっても我慢して、袷を着たり単衣を着たりコーディネート重視で選ぶこともあります。
もちろん、自分ルールの中で
着物文化の歴史や知識を付ける方法で、「コレ以上の方法は無い」といつも推奨しているきもの文化検定のパーティーで毎回おみえになる、服飾評論家「市田ひろみ」先生。
市田先生が以前
「私は年中、単衣の着物を着ています」
と、公言したことにより多くの着物愛好家が、従来の決まりやルールに縛られる事無く柔軟に対応できるようになったという話があります。
私もその1人
- 結婚式
- 入卒式
- 仕事関係のパーティー
- 七五三
などの行事や式典でも、本来なら袷の着物を着る時期でも、使用したい柄の意味や色のバランスを優先して生地を決めることの方が多いです。
もっと言うなら、
袷を30度超えた4月や5月に着るのは無理でも、真冬に単衣でも工夫次第で防寒はいくらでもできますからね。
文明が発達した現代にはヒートテックという便利なアイテムを着ることで安心感をあたえてくれるし、冬用下着や長襦袢がお助けマンになってくれます。
【冬から春】着物の衣替えに適した長襦袢は?
長襦袢にも冬用と春用と夏用があり、冬から春に変わる長襦袢の衣替えは着物と同じで
長襦袢の場合は「袷や単衣」だけではなくもう少し掘り下げると、仕立て方の違いで下のように沢山の種類があります。
- 胴裏+袖無双
- 胴裏+袖単衣
- 居敷当+袖無双
- 居敷当+袖単衣
- 裏無し+袖単衣
長襦袢の詳しい説明は長くなるので、下の記事で確認しながら着物生地との兼ね合いで温度調節をするアイテムとして捉えると、衣替えもしやすいです。
決まりやルール的には6月1日で衣替えですが、長襦袢こそ外から見て冬用か夏用か分かりづらいので、柔軟に考えられますね。
以上が、冬から春に向けての衣替えの紹介でした。
着物となると、
ですが、物事の本質を見極めれる人は、少なくとも自分と考え方が違う人を非難したり、自分の意見を押し付けたりしてきません。
自分がそうならないためにも、人の意見も尊重できるようになるためにも、しっかりと自分自身に向き合い知識をつけたいですよね。
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