心地よい青空に、ときより感じる肌寒さ。
そんな秋の訪れを身体で感じることが多くなってきた頃に、
「ササッと着れる羽織は必要かな。」
と思ったことはありませんか?
街を歩く着物姿の人を探してみても、羽織を着たりきなかったりまちまち。
- そもそも羽織は必要なの?
- いつから着ていいの?
- 着物とのコーディネートの仕方は?
- どんな種類があるの?
など、普段からなじみのあるものでは無いので、いまいちわからないことだらけですよね。
だけど、
確かに、洋服でも沢山の種類のアイテムをサラッと着合わせてコーディネートをしている方が、個性的に見えておしゃれ度が増しますよね。
そこで、今回は羽織はそもそも必要なの?から今どきのおしゃれな着こなし方まで、お悩みを一気に解決したいと思います。
着物の羽織は必要なの?
羽織に関しては、
- 出かける時は必ず着用派
- 自分の体感に合わせて着用するかしないか決める派
の2つの意見があります。
この見解からも分かるように必ず着なくてはダメ!というものではありません。
そもそも羽織は、武将が着ていた陣羽織、小袖の上に着ていた胴服が原型と言われており、江戸時代は男性しか着用が認められていなかった羽織物だったそうです。
後に江戸の『辰巳芸者』(深川芸者)が羽織った事で町の女性にも広がったと言われています。
当事の芸者の存在は今でいう芸能人、最新のファッションリーダー的な存在で
舞妓、芸妓は『京』の華
深川芸者は『江戸』の粋
と称され、深川芸者は羽織姿が象徴であった為「羽織芸者」とも呼ばれ男名前で粋と張り、意気地を売り物にしていた女性・・・。
羽織に粋なイメージがあるのは、この頃の名残りがあるからでしょうね。
そんなファッションリーダー的存在によって羽織が町人女性にも広がり、個々に様々な文様や羽裏で贅沢に 当事の人は純粋にお洒落として、羽織を楽しんでいたんですね
その後幕末から戦前にかけて(訪問着と言うジャンルができ、女性の礼装に位置付けされるまでは)縞お召に黒羽織が女性の礼装に位置していたそうです。
この時代はまだまだ女性は男性より下であったため、現代の訪問着的な感覚の豪華なお召し物とは少しニュアンスが違っていたみたいですね。
戦後、昭和30年頃から黒羽織が入卒式の定番みたいな位置付けになりました。下の記事に詳しくお伝えしています。
流行のピーク時、昭和45年の生産地
それだけ昔の羽織は、必要な存在だったのですね。
それから徐々に着物離れが進むと同時に、訪問着など礼装着も確立されて行き、黒羽織の存在も薄れて行きました。
現在の羽織は、洋服でいうカーディガンのような存在。
「寒ければ着る」
「暑ければ脱ぐ」
「おしゃれとしての1つのアイテム」
ぐらいの感覚で、お洒落として着物と合わせてコーディネートしてみたり防寒具として使用されますね。
羽織物一つとってもこうして歴史をたどりそのもののルーツを紐解いていくと、色々な事が見えて来て面白いですね
でも、なぜ出かける時は必ず着用派が居るのか?
という問題です。
私が着物を始めたばかりの頃着付けの先生に※帯付きは水商売の女性がする着姿で、「一般人の私たちがするのはみっともない」と、言われてきました。
いかにも帯付きはダメと育てられたのです。(後に、羽織物を購入させる営業文句でもあると知りましたが)
ダメ!と言われているので初心者の頃は一枚でも少なく着たい盛夏の着姿でも、無理して着てました。
羽織を着たため着物の内はサウナ状態
「汗と気力との闘い」
まるで罰ゲームかのごとく、薄物の羽織を着ていたのを思い出されます。
もう一つ、着ている着物や帯を守るために、塵除け(ちりよけ)として使う場合・・・。
正絹の高価な着物や帯をそれより安価なポリエステルの羽織で守るなら、意味はわかります。
しかし、正絹でできてる盛夏の羽織など生地が薄くなればなるほど、価格は高騰するので、
「なんなら、羽織を守りたいんですけど・・・」
ってなりますよね。
着物離れが進む一方であれやこれやルールやマナーを作り上げ購買戦略の一環とされる事から「出先では羽織は着る派」がいるのでしょうね。
そんな訳で現代の羽織の使用用途は、自分が必要だと感じたのなら着用すれば良いですね。
私は、帯結びがいまいち決まらなかった時の帯隠しに、もってこいのアイテムして使わせて貰っています
着物の羽織はいつからいつまで着れるの?
着物の羽織には、
- 単衣
- 盛夏
- 袷
の種類があり、それぞれに使用できるおおよその時期が決まっています。
単衣の羽織はいつからいつまで?
■裏地を付けないで仕立ててある単衣の羽織。
使用時期
3月~6月、9~11月
基本的には
袷の羽織ではまだ暑いと感じる時期(10月~11月上旬頃)には袷の着物に単衣の羽織を合わせでも大丈夫です。
7.8月の盛夏と12~2月の真冬以外の時期で着用します。
コートの下に着ても良いといわれていますが、中々の着重ねになるので動きにくさが気になりますね。
盛夏の羽織はいつからいつまで?
■裏地を付けないで仕立ててある盛夏の羽織。
使用時期
4月~10月
透け感の度合いにもよりますが、盛夏はもちろんのことお花見の時期から紅葉の時期まで着ることができます。
ただし体感が肌寒い時や、気温が低い日は寒々しく感じてしまうので使用は避けましょう。
単衣の羽織を使用するには暑い6月や9月上旬など、季節の変わり目にも重宝する羽織です。
袷の羽織はいつからいつまで?
■裏地を付けて仕立てる袷の羽織
使用時期
12月~2月
袷の着物の際に着用します。
ただ、冬の時期に羽織だけで出かけるのは、前が空いているため防寒具としては物足りないかもです。
防寒具として使用する際は
- 桜が散っても寒ければ袷で着るし
- 桜が散る前でも暑ければ単衣を着用します。
自分の身体が感じる体感温度を大切に、臨機応変に着こなしましょう。
羽織コーデのおしゃれな合わせ方
昔の羽織は合わせる着物の種類によって「格」が変わったりしていましたが、現代は特に決まった合わせ方や格も無いため自由に着物とのコーディネートを楽しめます。
着物の場合は、着物の「種類」「文様」「紋の数」「帯との組み合わせ」など様々な違いで格が変わってきます。
羽織をおしゃれとして合わせたい場合は、
羽織は丈の長さも決まりはなく、時代ごとの流行や思想によって長くなったり短くなったりし来ました。
- 昭和初期ぐらいまでおしゃれや防寒用として羽織の丈は長いものが流行
- 戦争が始まり、女性にも動きやすさや即戦力の思考によって、羽織の丈は短くなっていく。
- 戦争が終わりっても、女性は外に出て働く事が許されて求められたため、丈の短いままが主流となります。
現代は、膝より下まである
後は生地の質感や、下の記事を参考に季節に合わせた柄や色などを取り入れながら、着物と帯とのトータルコーディネートを完成させます。
羽織のアレンジはコレで決まり!
羽織は着物や帯と違って、
- 羽織紐
- 裏地
に、
羽織紐は、名前の通り紐でできたものから現代は天然石でできたもの、遊びゴコロたっぷりな作家さんのものまで種類は豊富です。
そして、羽織の醍醐味と言えば「羽裏」と呼ばれる裏地です。
基本的に室内でも使用したままの羽織は「羽裏」が見えることはめったに無いです。
そんな、誰にも気づかれない部分にこそこだわっておしゃれに決めている人こそ、最高の着物通の合わせですね。
今どきは、自分好みの羽裏を
詳しくは下の記事でお伝えしています。
江戸時代のように、着るものを禁止される時代でもなく、自分の好きな羽織を好きなようにアレンジして作れる時代です。
和装になると
- 気難しい
- 堅苦しい
と格やマナーが気になりますが、こんなにも楽しく自由に、自分なりのコーディネートでいくらでもアレンジできるので、楽しむ他ありませんね。
私は羽織を下の記事のように取り入れて楽しんでます。
よかったら参考にしてみてくださいね。
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