着物・・・コルトレイク麻手描き京友禅訪問着
帯・・・プラチナ引き箔 孔雀の羽根紋様袋帯
世界的にトップクラスで高品質の麻として評価の高い、
麻には、苧麻(チョマ)・黄麻(オウマ)・大麻(タイマ)・サイザル麻・など多くの種類がありますが、コルトレイクの麻は亜麻(アマ)と言われる麻です。
今回ご紹介する着物は、コルトレイクの麻をわざわざ日本に取り寄せて、着物に仕立てた訪問着です。
高品質のコルトレイクの麻を使って着物にするだけでも十分に貴重ですが、そこに京友禅作家さんによる、
着物通でも、中々できない特注の紛れもなく誰ともかぶらない贅沢な一作。
お目にかかることすら珍しい、そんな着物ができるまでのストーリーをお伝えします。
世界で高評価の麻が取れるコルトレイクとは?
コルトレイクとはフランス ベルギーにある小さな街の名称。
この地域はフランドル(フランダース)地方と呼ばれ16世紀から麻の産業が盛んで、現在も続く繊維産業の街です。
児童文学の「フランダースの犬」の舞台もこの近郊ですね。
コルトレイクは小さな街ながら、ユネスコの世界遺産に登録されている
- 鐘楼
- ベギン会院
もあり、私もいつかは行ってみたい文化と歴史が深い街です。
そんな小さな街で栽培される麻の原料がフラックスと言われる植物です。
着物で使われる麻は苧麻が有名ですが、フラックスは亜麻と言われる麻になります。
フラックスは麻繊維だけではなく、スーパーフードとして日本でもこのところ注目されている
フラックスオイルなら私も知ってる!W
でもまさかその植物から、麻を作るなんて思ってもいませんでした。
なぜコルトレイクの麻が世界的に高評価なのか?
コルトレイクの麻が世界的に高評価を受けるには様々な理由があります。
- フランドル地方の気候
- 地理的な条件
- 紀元前から麻栽培が盛ん
- 長年に渡って培われてきた技術も世界トッブクラス
他にも、フラックスの栽培はワインと同じで、その年の気候や土壌の状態によっても左右されます。
コルトレイク市で麻の紡績工場を長年営む「ジョス・ヴァネステ社」では、フランダース地方にある多くの農場との強い信頼関係を築い
農場を厳選します。
その年の最良のフラックスを厳選して、世界でも最も品質の高い麻の糸を製造してるのですね。
1年草であるフラックスの栽培は3月下旬に種をまき、1mほどの丈になる6月ごろに薄いブルーのかわいらしい花を咲かせます。
午前中に咲いた花は午後にはしぼんでしまい、畑全体でも1週間ほどで咲き終わってしまうそうです。
その後ボール状の実をつけて、7月になると、フラックス畑は黄金に輝く時期を迎え収穫されます。
コルトレイクの麻の質感や風合いは?
コルトレイクの「ジョス・ヴァネステ社」で厳選されたフラックス(亜麻)の茎の繊維から作られた麻は、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻)の麻とは品種が異なり、特徴も違います。
コルトレイクの麻は、汗を吸いやすく、熱がこもらない独特の風合いに根強い人気がある反面、色に染まりにくかったりという特徴もあります。
一般的に、シワになりやすいとも言われていますが、私が実際にこの着物を触らせてもらった感想は、
- 軽い
- しなやか
- ふんわり
- なめらか
など、とても肌触りが優しくジボ感もそれほどなく、しっとりしていました。
そんな特徴からこだわりを持つアパレル業者がコルトレイクの麻を使って洋服を作るのも納得。
もちろん、着物にも最適な素材だと感じました。
コルトレイクの着物に描かれている手描き友禅
コルトレイクの産地を意識してなのか、着物に描かれている友禅はアール・ヌーボー調で重厚な華麗なイメージです。
美しい曲線で描かかれた手描きの時計は、思わず見入ってしまうエレガントさがあります。
こんな曲線を手描きでできるんだ~
ただただ、その技術の高さに感心するばかり。
そんな、手描き京友禅を手掛けたのは、長嶋成織物の専属画家 野村ひろ子先生です。
私は、長嶋さんの専属画家さんでは男性の方しかお会いしたことがないのですが、やはり女性の先生ならではの、優しいタッチや色使いが地色にもマッチして素敵ですね。
地が麻なので、本来ならば訪問着でもカジュアルな部類に入ると思うのですが、描かれている紋様自体の格が高いので、今回みたいにプラチナ箔の袋帯を合わせても違和感ない上級コーディネートでした。
今回、こちらの着物を拝見させて頂いたのは、身内パーティーの様な着物好きの集まりだったのですが、約150名ほどいた着物姿の中でも、ひときわ目を引くお召物でした。
中には、由水十久や黄八文などとても貴重な着物でコーディネートされてた方がいましたが、やはり珍しさやオリジナル性からパーティーが終わっても、皆に囲まれてどの着姿よりも注目の的でした。
以上が、世界で高評価の麻コルトレイクの着物!手描き友禅によるオリジナル紋様の紹介でした。
中々自分で、このようなオーダーお仕立てをするのは難しいですが、
「世の中にはこんな珍しいお着物もあるんだね~」
くらいのお勉強は、着物好きならいくらでもしていたいですね。
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