「梅の実が熟すころの雨」が由来とも言われる梅雨が近づくと、着物生活でも雨コートが欲しくなりますよね。
どんより気分が落ち込みがちな雨の日は、
オシャレでかわいい雨コートを着て、心は晴れやかにお出かけしたい。
しかし、普段なかなか着ることのない着物の雨コートを選ぶ際は
- おすすめな色はあるの?
- どんな種類があるの?
- 種類の違いで何が変わるの?
- 格や流行りはあるの?
- 年中着て良いの?
など、沢山の疑問が出てきます。
雨降りしか着ない雨コートは、1枚持ってれば十分なので、余計に迷ってしまいますよね。
そこで今回は、これらの疑問を解決しながら、大人かわいい色や種類の雨コート7選を紹介します。
自分に合った雨コートの選び方を身につけて、雨の日こそ密かにワクワクお出かけしたいですね。
目次
大人かわいい雨コート7選
まずは、しっとり雨の日もお出かけしたくなるような、大人かわいい雨コート7選を紹介します。
②西陣織の菱ぼかし上品雨コート
③すかし織シースルー雨コート
④きもの雑誌「七緒」さんとコラボ二部式雨コート
⑤【HAMAE MORI】高貴な紫の雨コート
⑥文様に意味あり!縁起の良い雨コート
⑦黒の深みが重要な雨コート
⑥番と⑦番はなかなかお目にかかれない、着物通が欲しがる珍しい雨コートです。
①大島紬|縞(しま)模様雨コート
昔から粋の象徴とされる縞模様の大島紬に、防水加工をほどこした反物です。
大島紬プラス防水加工で2重の雨対策は、脱いでからサッサッと雨を振り落とすだけでなので、お手入れがとってもしやすい雨コートです。
濃いめの多色変り縞織が、跳ね返りの雨や泥もわかりにくくしてくれるので、使い勝手が良く粋な雨コートになるでしょうね。
②西陣織の菱ぼかし上品雨コート
菱柄がぼかしで表現され、現代的な幾何学文様が今の時代にマッチした上品な反物です。
特殊な本絹の強撚糸で織り上げられた西陣の技術は、光沢がなんとも艶やかで、身体のラインにほどよく寄り添ってくれるので、着姿がとても美しく仕上がります。
清楚な印象の色合いが、雨の日に明るく映えることでしょう。
③すかし織シースルー雨コート
ふんわりと軽く通気性もよい透け感で、おしゃれな格子柄の、西陣織ちりよけ兼雨コート反物です。
納戸色の縞ぼかしが、縦のラインを強調してくれるのでスラッと着痩せ効果も期待できます。
これだけ透け感のある生地は、下に着ている着物や帯をほんのり見せることで 着物通の着こなしをすることができます。
とくに後ろ姿が、何度も見返したくなる大人の魅力を際立ててくれます。
④きもの雑誌「七緒」さんとコラボ二部式雨コート
二部式の雨コートは機能性重視のデザインが多く、無地やいかにもポリエステル!の印象が強い中、こちらは色柄もかわいいい、雨コートです。
絹のような風合いの東レシルジェリー素材でできているので、お手入れも自宅でササッとできます。
とにかくお手入れしやすいことが第一条件の場合に、おすすめなコートです。
⑤【HANAE MORI】ブランドぼかし丸花の雨コート
ファッションからインテリアまで幅広く活躍する日本を代表するデザイナー「ハナエモリ(森泉、森星のお祖母様)」さんブランドの雨コートです。
日本の色文化の中で最も高貴な色とされる紫色に、白くぼかした中にある抽象的な花柄は、どの季節でも対応できるので、着回しが効く1枚です。
素材がポリエステルなので、お家で手軽にお手入れできるおしゃれな柄を探している場合にはピッタリですね。
⑥文様に意味あり!縁起の良い雨コート
西陣織に古来から貴族などに愛され、身分の高さや富の象徴をあらわす孔雀(くじゃく)の羽があしらわれた雨コートです。
羽の先の丸い模様が沢山の目から100の目を持つ鳥とも言われ、災いから身を守るとも言われます。
たくさんの色が使われ品のある艶やかさが、洗練された大人の美しさを演出してくれる縁起の良い雨コートです。
⑦黒の深みが貴重な雨コート
西陣で作られた深みのあるブラック雨コートです。
洋服と同じく黒色は、色の深さで見たときの印象を大きく左右するもっとも慎重に選びたい色の一種です。
着物の黒を作る染織文化は、地方によってさまざまな技法があります。
京都西陣にもいくつもの染の文化がありますが、そのうちの一種「三度黒」はその名の通り、三度も黒だけを染めあげるとても手間のかかる工程からできあがります。
手間をかけたぶん、引き込まれるような深みのある黒色からは、どんなシーンにも引けを取らない光輝さを感じます。
すけ感のある幾何学模様で織られたお花の柄が、辛すぎない大人かわいい雨コートにしてくれます。
以上を参考に、日本の染織文化に秘められる意味や由来を大切に取り入れることで、かわいいだけじゃない洗練された大人の雨コートを作ることができます。
ここからは、これらの雨コートを選んだ基準を順番に紹介していきます。
雨コートの色や種類の違いが、雨の日にどのように影響するかもわかるので、自分が雨コートを作る時の参考になると思います。
着物の雨コートでおすすめの色は?
雨コートは、着物も帯も隠してしまうからこそ、1枚でその人のセンスや知識の度合いがひと目でわかってしまう重要な存在。
とくに色は見た目で一番に認知するところなので、慎重に選びたいですね。
そんな着物の雨コートでおすすめの色は、暗い色と明るい色で自分が心ときめく方で良いのですが、その選び方がポイントです。
- 地色が1.2色の配色、または柄が少ない場合は、黒や茶色などなるべく暗い色。
- 地色が多色使い、または文様など多くの柄が入っていてる場合は、明るい色。
明るい色を選ぶ時はなるべく多くの柄が入っている雨コートを選ぶこということです。
この時点で少し理解しにくいと思いますが、下の「色を選ぶときのポイント」を読み進めると納得できると思います。
着物の雨コート|色を選ぶ時のポイント
雨コートの色を選ぶときのポイントは、雨や泥のはね返しが目立たない色を選ぶことです。
洋服で出かけた時も、家に帰ったら後ろに、はね返しの汚れが沢山ついてた経験ありますよね。
着物は特に、かかとが不安定な草履を履くため、洋服より雨や泥はねが多く付くように感じます。
着物で雨の日にお出かけするときは、すり足気味に歩くように意識しています。
それでも必ず付いてしまう雨や泥はねが、あまり目立たせないような色を選ぶと、道中も安心していられます。
地色を明るい色にしたいなら、柄が多く使われている雨コートを選ぶことで、雨や泥はねを目立たなくするのですね。
それでも選びきれない場合に、暗い色と明るい色別にメリットとデメリットを考えてみました。
着物の雨コート|色の違いのメリットとデメリット
まず地色が暗い雨コートの、メリットとデメリットです。
■地色が暗い雨コートの、メリットとデメリット
メリット |
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デメリット |
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続いて地色が明るい雨コートのメリットとデメリットです。
■地色が明るい雨コートのメリットとデメリット
メリット |
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デメリット |
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なんだか、暗い色の方がメリットが多くて良さそうですね
しかし、道中しか着ない雨コートは、訪問先の相手に会う前に脱いでしまえば、どちらを着ていてもTPO的に失礼になりません。
なので、雨や泥はねが目立たない色柄に気をつけてれば、ファッションとして自分の好きな色を選べば大丈夫です。
そして雨コートを選ぶ時に、色の他に悩むのが沢山の選択肢がある種類です。
着物の雨コートでおすすめの種類は?
着物の雨コートで色の選び方がわかったら、次に考えるのがコートの種類です。
塵よけ(ちりよけ)や、防寒コート同様に沢山の種類がある雨コートでおすすめな種類は、「一部式の道中衿」です。
「一部式」や「道中衿」は着物でしか使わない言葉なのでわかりにくですよね。
そもそも一部式という言葉は、あえて使っているだけで着物の世界でもめったに使われない言葉です。
そのあたりも含めて次の章で紹介します。
着物の雨コート|種類は何がある?
着物の雨コートの種類は大きく分けて下の3つの要素の違いで種類が別れます。
- 全身の形
- 衿の形
- 生地の種類
そして3つの中にも、それぞれ種類がありますので、詳しく見ていきましょう。
①雨コートの全身の形
全身の形には、ワンピースみたいに1枚で作られている一部式と、上着と裾よけの上下2枚で1セットの二部式の形があります。
■一部式の雨コート | ■二部式コート |
二部式以外の形を一部式とは呼びませんが、違いを判りやすくするためにあえて、一部式と呼んでいます。
それぞれのメリット・デメリットをざっくり説明します。
・誂え(あつらえ)が多いので好きな生地で作れる
・自分サイズで作れる
・着るのに時間がかからない
・着る時に地面の雨が付かないように注意が必要
・見た目がスマートで上品
・裾よけで身丈の調整ができる
・着る時に裾が地面の雨で汚れる心配がない
・既製品が多く、仕立て代がかからない
・上着だけをコートとしても使える
・2枚を着るので時間がかかる
・見た目がスマートではない。
それぞれの特徴を考慮して、自分はどちらのタイプが使いやすいかを考えて選ぶようにしましょう。
②雨コートの衿の形
雨コートの衿の形は主に下の6種類あります。
それぞれに特徴や着方が変わってきますが、下の記事でもう少し深掘りして紹介しています。
こちらも、自分の好みに合った衿の形を取り入れます。
ちなみに私の持っているコートは全てが道中衿です。
下に着ている着物の衿と同じ形なので、上から重ねて着ても違和感無くスマートに見えることがお気に入りです。
③生地の違い
雨コートの生地は、大きく分けて
- 正絹
- ポリエステル
の2種類あり、その中にも細かな種類があります。
正絹の場合は雨が染み込まないように、撥水加工した生地であることが第一条件です。
多くの場合は、予め撥水加工が施してある雨コート専用の生地として売られています
自分が持っている正絹の着物を仕立て直す場合などは、「パールトーン加工」など着物専用の撥水加工をして、雨や泥はねからガードしましょう。
着物通の方たちは、雨に強い大島紬で雨コートを作り、自分だけのコレクションとして楽しんでいます。
中でも、訪問着の大島紬で雨コートを作った人などを町でみかけると、素敵すぎて後を付いて行きたくなりますW。
ポリエステル生地は、着物初心者さんやお手入れを自宅でササッとしたい人には扱いやすくておすすめです。
以上のように着物の雨コートの種類は、細かく分けると非常に多くの種類になります。
わかりやすく考えるには、
②衿の形
③生地の種類
にそれぞれの種類をかけ合わせて作っていきます。
例えば、
①は一部式
②は道中衿
③は正絹の大島紬
といった具合に考えれば良いのですね。
以上を踏まえて色や種類を考えると、雨の日でもワクワクするような雨コートを作ることができます。
雨コートに格や流行りはあるの?
着物通のおしゃれな人は、相手を思いやる着こなしの「格」やその時代にぴったりとマッチした装いに心を配ります。
雨コートの格
着物を着る時にどうしても気になってしまう格のお話ですが、雨コートは羽織物なので格は気にしなくても大大丈です。
羽織物は室内では基本着ないので、格が必要な場面では脱いでいるからです。
洋服でいうレインコートなので、どんなに正式な場面でもレインコートの格に文句を言う人はいないので安心して好きなものを着ましょう。
ちなみに私が、雨コートを誂えた時は「黒だとフォーマルと普段着どちらでも通用するから便利よ」と進められました。
黒だと少し重いかなと思っていましたが、使用してみると黒にして正解でした
黒は他の色に染まることがないことから「誠実さ」「正式な」「まじめ」「高級」というイメージがあります。
実際に、子供たちの入卒式のどちらでも着回せたし、もちろん普段着のときも使用します。
きっと、明るい柄行の雨コートを誂えてたとしても、格は気にしないでどこにでも着回してたと思います。
ただ、流行りはちゃんと意識していました。
雨コートの流行りはあるの?
着物の歴史を紐とくとその時代を象徴するデザインが必ず存在していて、その時の「粋」を想像することができます。
そのコトからも、時代の流れと共に着物の雨コートも流行りがあることが解ります。
着こなしのアレンジが効かない雨コートは、衿の形にその時代ごとの流行りがあります。
平成から令和にかけて「道中衿」を進める呉服屋が多く、現代の流行りですね。
自然豊かな草花に囲まれていた時代からコンクリートが多くなった現代は、衿元がすっきりとシャープな道中衿が都会的なイメージとなり、今の時代に沿うのでしょうね。
雨コートは年中着ても大丈夫?
雨コートは洋服でいうレインコートです。
道中の雨から着物や帯を守ることが目的なので、季節を気にすることなく年中着ても良いです。
防寒コートの上から着たり、盛夏に着たり、どちらにも対応できるように単衣で作られている場合がほとんどです。
季節ごとに買い揃えなくて良いのが、経済的にありがたいです。
二枚目、三枚目と雨コートのレパートリーを増やしていけるなら、季節に合った雨コートを作るのも贅沢ですね。
ここまでが、雨の日になくてはならない雨コートの紹介でした。
雨コート以外に揃えておきたい雨具は?
雨の日のお出かけで雨コート以外にも、足元をカバーする下の二種類の雨具を準備しておくと安心です。
②足袋カバー
着物の雨具|雨草履
普段の草履を雨の日に履いてしまうと、湿気で底が剥がれたり鼻緒が抜けやすくなったりと痛みが早くなります。
そこで、用意したいのが雨の日専用の雨草履です。
雨草履には色々な種類がありますが、下のように爪先(つまさき)にカバーがついた形が多いです。
わざわざ、雨の日だけの草履を買うのはもったいない場合は手持ちの草履ごと覆う下のカバーが便利です。
自分の着物と相性の良いものを探して、上手に雨の日対策をすると良いですね。
着物の雨具|足袋カバー
雨草履の他にも、下のような足袋の上からはく足袋カバーという便利なものもあります。
雨足袋カバーは、防水加工がしてあるのである程度の雨は弾いてくれます。
足袋を守ってくれるだけだなく、雨染みからくる足元の冷えも防いでくれるのがありがたいです。
もっと手軽にカバーしたい場合は、100円ショップなどに売っている二股の靴下を道中だけはくのもありです。
足袋をカバーするのが目的なので、自分なりに色々なアイテムを試してみるのも楽しいですね。
雨の日の着物雨コートとその他の雨具のまとめ
以上が、雨の日に着物でお出かけする時に準備しておくと安心な雨コートと雨具の紹介でした。
まとめると、
- 着物の雨コートの色は柄が多いか少ないかで変わる。
- 着物の雨コートの種類は一部式の道中衿が今どきの流行り
- 着物の雨コートの格は気にしなくても大丈夫
- 着物の雨コートは年中使用OK
- 雨コートの他に雨草履を用意しておくと安心
- 足袋の上にも足袋カバーをはくと安心
以上です。
雨が降っていると着物でお出かけは憂うつになりがちですが、自分のこころのあり方1つで特別な一日にできるのは、動物の中でも人間だけに与えられた神様からの智慧だと感じます。
雨の日こそ、自分がワクワクするような雨具たちを身に纏って、お出かけを楽しみたいですね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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