洋服に、「ワンピース」や「Tシャツ」などの種類があるように
和服も、出先のTPO別にいくつかの着物の種類が存在します。
time(時)・place(場所)・occasion(場合)の頭文字を取って作られた和製英語のこと。「時と場所やその時の状況によって着物の種類を使い分ける」という意味。
洋服ほどの沢山の種類は存在しませんが
かしこまった場面では
少し堅苦しく感じるイメージがあるかもしれません。
しかし、基本とされる着物の種類を知ることで
コーディネートに悩む時間も減り
その場の格に相応しい装いを
自信を持って堂々とできるようになります。
また、今までは使い方がわからず箪笥の奥にしまわれていた
着物にも日の目を浴びさせてあげたり
逆に、買取りを考えている場合に
あらかじめ相場などを下調べたりすることもできます。
これから着物を始めようと思っているあなたにも
着物の種類の見分け方をわかりやすく表で紹介しますね。
着物の格の違いによる種類
着物には、格という少し堅苦しい存在があります。
着物の場合は、着物の「種類」「文様」「紋の数」「帯との組み合わせ」など様々な違いで格が変わってきます。
初心者の頃は、この格が一番の悩みどころですが、
TPOに合った格の違いによる着物の種類は
大まかな格の種類は下記4つ。
- 第一礼装の着物
- 準(略)礼装の着物
- おしゃれ着の着物
- 普段着の着物
第一礼装が格が一番高く、下に行くほど軽装になり
この種類の中に細かな着物の種類が分類されます。
洋服でいう礼装がイブニングドレスであったり
普段着がジーパンであったり・・・
何となくわかりますよね。
着物の格 | 着物の種類 |
---|---|
第一礼装の着物 | 打掛・黒留袖・本振袖・喪服など |
準(略)礼装の着物 | 色留袖・訪問着・付け下げ・振袖・色無地・紋付きの江戸小紋など |
おしゃれの着物 | 小紋・紬の訪問着・絞り・お召・更紗など |
普段着の着物 | 紬・ウール・木綿・浴衣 |
この表を参考に、出先の格に合わせた
着物の種類を着用します。
糸を織ってから色を染めた染めの着物とよばれる物が礼装で
糸を織る前に色を染めた織物の着物とよばれる物が普段着に
分類されることもあります。
先染め・後染めの詳しい違いや該当する着物の種類は下の記事で紹介しています。
次の章で、種類別に詳しい見分け方を紹介します。
一番格の高い第一礼装の着物の見分け方
第一礼装着は、冠婚葬祭などの慶事
公的な儀式などに着るものです。
ミスとミセスによっても着る種類が変わってきます。
洋服でいう、燕尾服(えんびふく)やイブニングドレスの位置付けです。
着物の名前 | 着物の特徴・見分け方 |
---|---|
黒留袖 |
黒地に 現代では、 訪問着などとは違い、 お祝いの席に着る着物なので、喜びを重ねる意味の |
色留袖 |
五つ紋、三つ紋、一つ紋のいずれかを付けて 正式な席で、訪問着代わりに着る人もいます。 |
振袖 |
振袖は フォーマルな着物なので、重ね衿を合わせたりして華やかに装います。 |
喪服 |
喪服には 半襟と足袋(たび)以外の帯・帯揚げ・帯締めなど小物まで全て黒で揃えるのが特徴です。 喪服には |
打掛 |
室町期以降の女性の衣服の一種で、織りや染めで表現した 掛けるだけなので、丈が長く引きずるので実用的ではありません。 現代では主に 髪型は文金高島田が一般的です。 |
準(略)礼装の着物の見分け方
準(略)礼装は、第一礼装の次に格の高い着物です。
入学式や結婚式の披露宴、初釜などに着用します。
着物の名前 | 着物の特徴・見分け方 |
---|---|
訪問着 |
訪問着は主に 結婚式やパーティー、紋なしはお食事などにも着用される |
付け下げ |
訪問着より、軽い感じの絵羽紋様なので仰々しくなく使い勝手も良い着物です。 |
色無地 |
同色の裾ぼかしも色無地の一種です。 袋帯を合わせてお茶会や式典などに装います。 黒の名古屋帯を合わせることで、半喪(通夜や法事)などにも着用できます。 |
紋付きの江戸小紋 |
一見無地に見える江戸小紋は、 鮫・行儀・通しの3つの紋様を江戸小紋三役と言われ |
おしゃれの着物の見分け方
おしゃれの着物は、軽い会食やパーディーなど少し格がある場所から
お友達との観劇などに着ていける、使用用途の広い種類です。
普段着の着物の見分け方
俗に言われる街着(まちぎ)などの普段着や浴衣は、ちょっとした外出などに着用します。
着物の名前 | 着物の特徴・見分け方 |
---|---|
紬 |
大島紬や結城紬などの産地の名前からきている物が多い紬は、 商品にならないくず糸から作っていたため、形の整った上質な絹糸とは違い 昔からの技法を忠実に守り作られた
|
浴衣 |
綿や麻などの素材でできていることが多い浴衣は、主に盛夏(7.8月)に着るものとされていますが、近年は温暖化の影響もあることから 平安時代に入浴時に着られていた着衣→湯上がりに着られる着衣→就寝時の寝間着という時代背景から、浴衣は日中は着ないとの認識もあるようですが、 上質な麻でできた着物用の縮(ちぢみ)を長襦袢を着ないで、浴衣として着用することも出来ます。 |
木綿・ウール |
着物は上質な絹で作られてることが多いですが、木綿やウールなどほっこり温かみのある素材のものもあります。
木綿で有名なのが 藍染に白の絣模様が代表的ですが、縞や格子など近代的な模様も多く見られ |
以上が、着物の種類や見分け方の紹介でした。
着物には、今回のように
TPOの違いでに分かれる種類の他に
織り方違い
染め方の違い
生地の違い
糸の違い
季節の違い
などなど、沢山の違いでそれぞれに種類が存在します。
そのことが、着物を難しく感じさせる要因の一つになっていますが
一歩ずつ、一つずつの分野での種類の違いを知ることで
着物の真の魅力が見えてきますよ。
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