夏の結婚式に出席することになったのに、
「着ていく着物が冬用の袷しかない!」
という場合に、わざわざ夏用の着物を仕立てるのも勿体ないし、できれば手持ちの着物で参加したいですよね。
ですが、格式のある結婚式場や目上の方のお呼ばれ結婚式の場合だと、
「何かしらの失礼に当たってもいけないし。。。。」
「色や種類は何を選んだら良いの?」
とフォーマルな場面なだけに心配なことが多いのも事実です。
そこで今回は、6月・7月・8月・9月の夏の時期の結婚式の着物で袷を着ても良いのかや、色や種類について紹介したいと思います。
夏の結婚式の着物に袷は着て良いの?
いつどのタイミングでお呼ばれがかかるかわからないのが結婚式。
そんな結婚式のお呼ばれが、もしも夏の時期だったら
「袷の着物を着て良いか?」
の疑問が思い浮かびます。
まずその答えとしては、通常の夏には夏用の着物を着る事になっていますが結婚式の場合は夏でも袷の着物を着ても問題ありません。
そのため、慌てて夏用の礼装を用意しなくても大丈夫ですね。
そもそも結婚式などに使われる留袖や、未婚者の礼装とされている振袖は袷で作られている場合がほとんどで、新郎新婦が式で着る着物も袷で作られています。
基本的には、こうした礼装用の着物は季節を問わず着て良いことになっています。
そのため、留袖や振袖だけでなく、結婚式でよく着られる訪問着や付下げなども同様に袷であっても大丈夫ですね。
結婚式などのお祝い事では、裏表の二枚の生地が合わさって作られる袷の仕立て方法から
「お祝い事を重ねる」
「二重に喜ぶ」
「一生添い遂げる(重なる)」
などの縁起をかつぐ意味も持ち合わせ、あえて袷の着物を着るという意見もあるぐらいです。(帯の二重太鼓と一緒ですね)
しかし、いくら
「結婚式の場合は、夏だけど袷せの着物を着て良い」
といっても特に気温の高い7月・8月に袷の着物を着る事は、暑さとの戦いになることは覚悟しておいた方が良いですね。
最近は夏でも空調設備が整っているので、室内の結婚式ならほとんどの場合、袷の着物でもそれほど暑さを感じず過ごすことができると思いますが問題は道中ですね。
暑さのあまり気分が悪くなったり、体調を崩してはせっかくのお祝いの席が台無しです。
夏の時期に袷の着物を着る場合は、下記のような暑さ対策を万全にする事をおすすめします。
- 補正と下着を夏物にする
- 長襦袢を夏物にする
- 襟周りをゆるめに着付ける
- 保冷剤を帯回りに仕込む
- 脇下に冷えピタをはる
- 下着や長襦袢に冷感スプレーをする
そして夏なのに袷の着物を着て良いということになると、今度はどんな種類や色の着物を着て行けば良いのか迷ってしまいますね。
そこで、夏に袷の着物を着た場合の着物の種類や色の選び方を紹介したいと思います。
結婚式の着物の色や種類は?
夏の結婚式で、袷の着物を着るのは良いのですが、フォーマルな場面なだけに、参列する式に合わせた着物の種類を着て行かなければいけません。
着物での結婚式での参列の場合、季節別の着物の種類の他に、その人の立場や、式の内容によって着ていく種類が分かれています。
詳しい種類の選び方は、下の2つの記事で紹介しています。
こちらの記事の中では、親族や友人知人などの立場別に着ていく着物の種類を紹介しています。
参列する結婚式での自分の立場と照らし合わせながら、読み進めていくことをおすすめします。
合わせて、下の記事では礼装や略礼装の着物の紹介をしているので参考になるかと思います。
そして、夏に合わせの着物を着る場合は、帯締めや帯留めなどの小物類は夏用なのか袷用なのかどちらが良いのかという疑問がでてくると思います。
次はその小物類についてみていきましょう。
夏の結婚式で袷を着る場合の帯締めや帯揚げは何をするの?
夏の結婚式に袷を着た場合に気になるのが、帯締めや帯揚げなどの小物類の素材は夏用にするのか袷用にするのかということです。
着物をコーディネートする際に帯締めや帯揚げの素材に悩んだ時は着物の種類ではなくて、帯の種類に合わせると違和感なく決まります。
近年の帯には、オールシーズン使えるものや、礼装用でも夏用の帯があります。
着物が袷であっても帯が夏用(単衣)なら帯揚げや帯締めは夏用にした方がしっくりきますが、逆に帯も袷用なら小物類も袷用にした方が良いですね。
帯締め帯揚げは、その時期にあった質感や透け感に合わせて選ぶのが、着物をコーディネートする上のルールになっていますが、一概にそうとはいえない曖昧な部分もあります。
帯締めといえば道明が有名ですが、とても厚地で幅のあるどう見ても袷の時期の帯締めでも、道明ならオールシーズン(夏も)使えるといわれています。
質感や透け感の観点から考えたら、おかしな話ですよね。
とはいうものの、普段着やちょっとした街着などでは、おしゃれとして自由に着こなせば良いのですが、結婚式などのフォーマルな場面ではやはり、帯の質感に合わせて小物を選ぶのが良いでしょうね。
そして、結婚式で着物を着る時にもう一つ気になるのが、マナーやルールです。
洋服で出席する時でも気になるフォ―マルな場面での服装が、和服になるともっと厳しいマナーやルールがありそうで構えてしまいますよね。
結婚式当日に不安要素を取り除いた状態で、晴れやかな気持ちで出席するためにも、着物でのマナーやルールを押さえておきましょう。
結婚式の着物でのマナーやルール
着物での結婚式の出席で気を付けたいマナーやルールは、「格」を合わせる事です。
着物の場合は、着物の「種類」「文様」「紋の数」「帯との組み合わせ」など様々な違いで格が変わってきます。
結婚式当日に着ていく様々な種類の着物のコーディネートの仕方で格が変わってくるということですね。
その着物の格と下記のような点に注意した格を合わせる事が大切になってきます。
- 参列する式場の格
- 参列する際の自分の立場
- 結婚式の内容
格と表現してしまうと、少しかたくるしく感じてしまいますが、実際は洋服を選ぶときと何ら変わりなく、説明を聞くと
「それはそうだ!」
と思える簡単なことなので、注意したい点ごとに詳しく見ていきましょう。
結婚式場に合わせた着物の格
近年の結婚式の会場は、神社仏閣、ホテル、専門式場、レストラン、ゲストハウスなど様々な種類の会場があります。
着物での結婚式の参列には、第一礼装や準礼装などの着物の格が一般的ですが、こじんまりとゲストハウスなどで行われる式などで、あまりにも格の高い第一礼装だと、自分だけ浮いてしまう場合もあります。
逆に格の高い式場で軽装しすぎてもいけませんので、事前に式場の格を調べておくことで、当日
「あら、私だけなんか浮いてる?」
といった事態を避ける事ができますね。
式場の格に気を付けたら、次に注意したい点は自分の立場です。
結婚式の主役は言うまでもなく新郎新婦ですが、その主役から見て自分の立場は何なのかによって、着て行く着物が変わってくるので、次はその点を見ていきましょう。
結婚式に参列する際の自分の立場に合わせた着物の格
結婚式で、着物を着る際に最も気にしたい点が自分の立場です。
着物は、その場の中での自分の立場によって着る着物の格が変わってきます。
結婚式では新郎新婦の親族なのか、友人なのか、はたまた仲人なのかと、一言で参列といっても様々な立場があります。
親族の中でも、親なのか姉妹なのか叔母なのかなどのさまざまな立場の違いもありますし、既婚者なのか未婚者なのかの立場も違います。
立場に合った着物の格を選ぶようにすると良いですが、結婚式の場合は、新郎新婦の両家も参列しますので、相手側との兼ね合いも注意して着物の格を選ぶことも大切になってきますね。
結婚式の内容や規模に合わせた着物の格
結婚式の着物は、式の内容や規模に合わせた格を着ていくと良いとされていてます。
近年の結婚式には、神社での神前式から披露宴まで行う場合や、ゲストハウスでのカジュアルパーティーのみの場合など、様々な結婚式の内容があります。
また、親族のみや親しい人のみが参列する式の場合や、仲人も立て会社の上司などまで参列する大がかりな式の場合など、式の規模も人それぞれです。
どのような内容や規模の結婚式なのか分からない時は、新郎新婦に聞いてみるなど、あらかじめの下調べは必要ですね。
内容を聞いても
「どのような式なのか?」
「どの格の着物を着れば良いのか?」
迷った時は新郎新婦は何を着るのかを聞くのも一つの手です。
結婚式の服装を選ぶときは、新郎新婦の衣装をもとにそれより低い格の服装を選ぶ必要があります。
新郎新婦がカジュアルな衣装なのに、参列者の方が格の高い着物を着ていたらおかしいですよね。
着物での結婚式の出席は、一見マナーやルールが厳しそうに思えてしまいますが、洋服で出席する時のドレスコードの選び方と何ら変わりがありません。
新郎新婦の門出を祝う気持ちを、一番に置いてコーディネートを考えると、選びやすくなりますね。
以上が、夏の結婚式に袷の着物を着て行く場合の紹介でした。
礼装用の袷の留袖などは結婚式ぐらいしか日の目を見ないし、振袖も成人式の時にしか着ない場合が多いですが、せっかく持っているのにそれではとても勿体ないことです。
せっかくの着物がタンスの肥やしにならない為にも着物だからとあまり堅苦しく考えずに、多くの出番を作ってあげると良いですね。