黒留袖の髪型に付けるかんざしのマナーは?結婚式でかんざしは必要なの?

結婚式などで黒留袖を着る時の髪型に、かんざしを付けるか付けないかは、和装のトータルコーディネートを考える時の悩みの一つでもありますね。
 
 
そもそも、黒留袖は着物の中で一番格の高い第一礼装にあたり、着ていく場所もフォーマルな場面が多いです。

※格とは、そのものの値打ちによってできた段階・位・身分・等級などを表すものです。

着物の場合は、着物の「種類」「文様」「紋の数」「帯との組み合わせ」など様々な違いで格が変わってきます。

そんなフォーマルな場面だからこそ、たとえ髪の毛に付けるかんざしでも、マナーやルールがありそうで失敗は避けたいもの。
 
 
そこで今回は、正式な場面に着る事が多い黒留袖の髪型のかんざしについて紹介します。
 
 

黒留袖に付けるかんざしのマナーは?


 
 
和服に限らず、フォーマルな場面ではその場に適した服装の決まりやマナーなどのドレスコードが決められています。
 

ドレスコードとは、場所や時間帯によって決められた、その場の格式に合わせた服装のことですね。

 
 
黒留袖は和服のなかで一番格の高い着物、ドレスコードは礼装にあたるので、着物や帯だけでなく小物類にも決まりやマナーがあります。
 
 
黒留袖に使う帯揚げや帯締めなど他の小物ほど、厳格な決まりはありませんが、髪型に付けるかんざしにも下記のような、気を付けたいマナーが2つほどあります。
 
 

  • 主役より目立つかんざしは付けない。
  • かんざしの素材や、柄に気を付ける。

 
これらのマナーは、

「絶対守らなければダメ」

というものではありませんが、ドレスコードが礼装の場合にはその場の格を損なう事にもなりかねません。
 
 
マナー違反は自分だけでなく、その場に居合わせる人たち全体に関わることなので、失敗しない為にも一つずつ詳しく紹介します。
 
 

主役より目立つかんざしは付けない

黒留袖を着る場面は、その場の脇役として出席することが多い結婚式などの参列になります。

結婚式の主役は新郎新婦に当たりますが、

「結婚式では新郎新婦より目立つドレスコードをしない」

ということは洋服の場合でもよく言われることですね。
 
それがかんざしでも、主役である新郎新婦の晴れの門出を祝う席で、主役より豪華できらびやかなかんざしは、お祝いする側としては不向きですね。
 
 
以前、私がコーディネートで悩んだ時に、着付けの先生に教えてもらったことが一つあります。

「装いとは出向く場所や相手への敬意を服装で表す事」

どのような場合でも相手を思う心をコーディネートで表現できるところが、和服の良い所だと教えていただきました。
 
 
たとえかんざし一つでも、相手を思う心を持って選びたいものですね。

そして相手を思う心は、かんざしの場合は素材や柄からも表現できるので、次はそちらを紹介します。
 
 

かんざしの素材や、柄に気を付ける。


 
 
かんざしには素材や柄や形に様々な種類がありますが、黒留袖のような第一礼装の装いには、かんざしもそれ相応な種類のかんざしをおすすめします。
 
 
それ相応なかんざしとは、素材でいうと布やガラスでできたものより、漆塗やべっ甲などでできた高級感がある素材の物です。

べっ甲かんざしとは、天然のタイマイ(海ガメの名前)の甲羅(こうら)を加工して作られたかんざしの事です。

 
 
他にも純24金や、黒漆、蒔絵、螺鈿など、日本を代表する伝統工芸の技術の数々で作られた高級かんざしなども良いですね。
 
しかし、これらの素材からできたかんざしは高級で値段がはることもあり

「ちょっと、そこまでの金額をかんざしに出せない」

という場合は、漆調やべっ甲調に作られた下のようなかんざしもあります。


このようなかんざしだと、お手軽な金額で本物に似たツヤや高級感を演出することができるのでおすすめです。
 
 
また、かんざしの柄も黒留袖を着る場面に相応しい柄が良いですね。
 
古くから日本人は身近な物や大切な物に、幸せを願う思いや、お祝いの思いを柄として描き表現してきました。
 
 
かんざしに書かれている柄も、相手の幸せを願う思いや、お祝いの意味がある植物や動物が書かれている吉祥柄が良いですね。
 
 
吉祥柄も種類が沢山あって分からない場合は、下の記事に古くから日本に伝わる柄(文様)についての種類や格が書いてあるので参考にしてください。

 
 
また、かんざしの形の種類も様々ありますが、かんざしの種類も下の記事で紹介しています。


 
 
黒留袖にはこの形が良いというものはありませんので、素材や柄を考慮して形を選ぶと良いですね。
 
 
ここまでは、黒留袖の髪型に付けるかんざしのマナーのお話でしたが、そもそも結婚式などでは絶対にかんざしは付けなければいけないのでしょうか。
 
 
お祝いの席の結婚式を、迷いなく晴れやかな気持ちで出席するためにも、次は結婚式でかんざしは必要なのかを紹介します。
 
 

結婚式でかんざしは必要なの?

結婚式で黒留袖を着る場合にかんざしを付けるか付けないかを迷いますが、マナーやルールとしてかんざしを付けなければならない決まりはありません。
 
 
しかし、かんざしを付ける事によって髪型が一気に華やかになり、式場の格が上がることは間違いありません。
 
 
結婚式の参列者は、ドレスコードで祝福の意を表すため、かんざしを付けて華やかに着飾り新郎新婦にお祝いの気持ちを伝えると良いですね。
 
 
そんな役割もあるかんざしですが、今どきはどのようなかんざしが人気があるのか見ていきましょう。
 
 

黒留袖に似合う今どきのかんざしは?

黒留袖に似合うかんざしといったら下の画像のような二本足のばち型かんざしを思い浮かべますね。


 
 
ばち型かんざしは別名扇型かんざしともいわれ、三味線のバチから取った名前のかんざしで、銀杏の葉を模したともいわれる古典的なかんざしの一つです。
 
 
シルバーや貝やべっ甲などの素材や、蒔絵が施された柄など、デザインも様々ありますが、まとめた髪にそっと添えるように挿すことで品と高級感を与えてくれます。
 
 
最近はこのバチ型かんざしにパールが施された下のようなかんざしが人気です。

パールの石に込められた意味には

「健康・無垢・長寿・富・純潔・円満・完成」

などがあります。

好きな人とを引き寄せあい、愛し合うというような意味合いを持ち、昔から結婚式には欠かせないアクセサリーとして人気です。
 
 
日本の伝統的な和髪のアクセサリーのかんざしと、愛の象徴とされるパールとの組み合わせが現代的でおしゃれなかんざしとして結婚式でよく使われています。
 
 
バチ型かんざしの他にも、黒留袖に合うかんざしの種類は沢山ありますが、どのような種類があるのかを下の記事で紹介しています。


 
 
結婚式や黒留袖で使用すると良いとされる形の決まりやルールはないので上の記事を参考に、自分の髪型にあったかんざしを選ぶと良いですね。
 
 
以上が、黒留袖の髪型に似合うかんざしに関する紹介でした。
 
 
結婚式などのお祝いの席で着る事が多い黒留袖のトータルコーディネートとして、華やかで上品なかんざしの存在はとても重要です。
 
かんざし一つに込められる意味や思いを大切に、主役に対しての敬意を表す手段として、和装のトータルコーディネートを楽しめると良いですね。