季節の変わり目の衣替えの時期になると、着物の収納方法に悩むことありませんか?
着物の収納方法には桐たんす(箪笥)や、たとう紙に仕舞うというのが一般的なので、祖母や母の代から気づいたら家に置いてあったという方も多いと思います。
普段は当たり前のように使っていますが
「桐たんすやたとう紙がなぜ着物の収納に向いているの?」
「それらの収納方法はどうやれば良いの?」
などきちんとした知識がないまま使っていると、いざ着物を着ようと思ったときに
「あれ。こんな所にシミができてる!」
と、ビックリすることも。
着物を守るために適した桐ダンスやたとう紙も、正しい方法で収納しないと宝の持ち腐れになってしまいもったいないです。
そこで今回は、桐たんすやたとう紙の収納について下記の2点について、まとめてみました。
- 着物の収納方法でおすすめな桐たんすとは?
- 着物の収納方法でおすすめなたとう紙とは?
普段、何気なく使っているけど
「えーーーー!そうだったの?」
と思うことばかりで、無知って怖いと改めて思います。
大切な着物をしっかり保管する為にも、しっかりとおさえておきましょう。
着物の収納方法でおすすめな桐たんすとは?
桐たんすは一棹(ひとさお)何万円の物から、何百万円の物まで存在します。
一桁も価格が変わってくると
「その価格の違いは何?」
と、疑問に思ってしまいます。
それに、安いと効果も変わってきたりするのなら、きちんとした違いを知っておきたいですよね。
そこでまずは着物の収納に欠かせない、桐たんすの下記の点に注目してお伝えしたいと思います。
- 桐たんすの収納の仕方。
- 桐たんすはなぜ良いと言われるの?
- 桐たんすの価格の違いは何?
① 桐たんすの収納の仕方
桐たんすは、大きさや形やご自身の着物生活によって、収納の仕方が変ってきますので一つの方法として読み進めてくださいね。
たんすの特徴として、同じたんすの中でも
普段はあまり着ない留袖、留袖用の長襦袢、帯、喪服一式などを、1番上に入れておくと良いでしょう。
入れ方は、留袖用の帯、留袖用長襦袢、留袖の順にいれると 1番上に着る夜着だたみの留袖に負担がかからず、シワも付きませんのでおすすめです。
次の段は色留袖、訪問着、色無地などを入れると良いでしょう。
その下の段に、付けさげ、小紋など染めの着物を入れますが、 絞りの着物などは重みのかからないように一番上に置きましょう。
後は順に、結城紬など織の着物、羽織、コート類など羽織るものなどを入れます。
帯類は帯だけの段を作って入れても良いですね。
小引き出しには、帯あげ、帯締めを入れ、盆には、乱れ盆として 着用時に使う帯板、帯枕、伊達締、腰紐など、着付けに必要な小物などを入れます。
② 桐たんすはなぜ良いと言われるの?
桐たんすが着物の収納に1番良いと言われる理由は桐が持つ性質にあり、主に下記の5つになります。
- 防湿効果
- 気密効果
- 抗菌効果
- 保温効果
- 防火性
①防湿効果
桐は湿気を調節する性質を持っているため、湿度の多い時は
そのため桐たんすの中まで湿気を通さず、着物を守ってくれるのです。
日本は多湿なので、湿気に弱い性質の”絹”でできている着物は湿度の管理ができていないと、カビやシミの原因になるため、収納時の保管状況は着物にとってとても大切です。
②気密効果
桐たんす全体が呼吸しているので
湿気の多い日は膨張して外からの湿気を防ぎ、反対に空気が乾燥すると湿気を発散し収縮します。
桐たんすが雨の日に開けにくく、天気のよい乾燥した日には開けやすいのも吸湿性により桐の厚みが変わってくるからです。
桐たんす内部の湿度を一定に保つことにより、着物に余計な負担をかけることなく長期に渡り保護してくれます。
③抗菌効果
多量のタンニン(防腐剤となります)の効果も含まれるからです。
④保温効果
桐は多孔質(ミクロの小部屋が多くある事)なので、空気を多く含むため保温効果が大きくなり
⑤防火性
桐自体の吸湿性により水分を多く含む桐は、
(木材に火がつく事を着火、炎となって燃え出す事を発火といいます)
そのため、実際に火事にあって桐たんすの外側は焼けているのに、中に入っていた着物は無傷だったという、話も聞いたことが有るのではないでしょうか?
それだけ、桐は燃えにくく、いざという時に着物を守ってくれます。
以上のような理由が、桐たんすが着物の収納に1番良いと言われる理由です。
桐の特徴を知り尽くし、着物の保管の為に使い始めた昔の人の知恵は素晴らしいですね。
③ 桐たんすの価格の違いは何?
桐たんすには様々な価格の違いがありますが、その理由に下記の3点が上げられます。
- サイズの違い
- 使われている木材の違い
- 作られる工程の違い
- たとう紙の収納の仕方
- たとう紙に着物を入れる訳
①サイズの違い
本来の桐たんすは
勿論、規制のサイズでできあがった桐たんすも売られていますが、どちらも上下、左右のサイズの大きさの違いや、板の厚みの違いによって値段も変わってきます。
②使われている木材の違い
総桐たんすは名前の通り全てが桐でできているたんすです。
中には、中国製の安価な桐を使い日本国内で作ったものも、総桐たんすと表記したり
合板に外側全体に薄い桐を貼り付けただけの物も、総桐と表記してあるも物もあります。
(勿論、総桐たんすとして売られているので、こうした商品でもウン百万している事もあります)
総桐たんす本来の特長がないものや、使用後の再生(洗い・修理)対応できない品でも、総桐たんすとして混在して数多く流通しているので購入の際には特に注意が必要です。
日本の桐を使い日本の職人が手がけた桐材は、着物のカビやシミの原因にもなる”アク抜き”がしっかりしてあります。
購入の際に。本物かどうかの確認項目の一つとして、”アク抜き”に関して伺ってみるの良いですね。
③作られる工程の違い
そもそも桐たんすの作り方は、他のたんすと全く工程が違います。
大切な着物を湿気、カビや、シミから守るため、しっかり
その工程基準はとても厳しく『経済産業大臣の指定伝統的工芸品』の証紙(下の写真)が貼ってあるものが信頼性の高い、唯一国から認められた桐たんすになります。
現在、国から「伝統的工芸品」の指定を受けた桐たんすは次の5府県で作られている桐たんすです。
・埼玉県の春日部桐箪笥
・愛知県の名古屋桐箪笥
・大阪府の大阪泉州桐箪笥
・和歌山県の紀州箪笥
他に、都道府県が独自に定めた伝統工芸品もありますので、混乱しないようにして下さい。
以上が、桐たんすについての紹介でした。
ここまで、詳しく桐たんすの事を知ると、自分の持っている桐たんすの事が心配になってしまいますが、一度桐たんすを作っているお店などに、再生の見積もり依頼をしてみるのもおすすめですね。
次は、桐たんすと同じく着物の収納に欠かせないたとう紙について紹介します。
着物の収納方法でおすすめなたとう紙とは?
桐たんすと共に着物の収納に必要なたとう紙も、普段当たり前に使っていますが収納方法が間違っていると、着物の痛みの原因になる事があります。
桐たんすに収納する際にたとう紙も一緒に収納している人も多いと思いますが、いくら上等な桐たんすを使っていても、たとう紙の収納方法が間違っていたら元も子も無いです。
とりあえずたとう紙だけで着物の保管をしている人にも、今一度、たとう紙について見直してみましょう。
① たとう紙の収納の仕方
■たとう紙の厚紙
たとう紙だけで購入した場合は大丈夫ですが、着物を誂えた時に使われるたとう紙には、配達や、持ち運びの観点から底に厚紙が入っていることがあります。
この厚紙を入れっぱなしにしておくと、厚紙に湿気がたまり、着物のカビやシミの発生の原因になることが有るので、
■たとう紙の薄紙
たとう紙の内側に付いている薄紙には糊が使用されているため、虫が繁殖しやすく、こちらも直ぐに取ってしまった方が良いという意見がありました。
(これは私も知りませんでした。周りの着物仲間に聞いても誰も知りませんでした!)
ですが、もっと調べていくと、薄紙は湿気吸収のために必要と言っているお店もありました!
私も、実際は付けたまま使っています。
なんとなくですが、薄紙によって二重に守られている感があって好きです。
同じく、窓付きたとう紙の窓枠部分の、フィルムを接着している糊部分にも虫がよりつくから外したほうが良いという意見もありました。
もう一つの理由に防虫剤の影響でフィルムが溶けることもそうです。
薄紙やフィルムについては、色々な意見があり何が正解なのかはわかりません。
ですが、後に説明するたとう紙の使用期間や、お手入など考えたら、薄紙やフィルムが原因で何か起きる前にたとう紙の取り扱いに気を付けるので、そこまで神経質にならなくても良いように感じます。
■たとう紙にも虫干しは必要
たとう紙も、着物と同様、
“虫干し”した、たとう紙は新品同様になり、その日から又2年ほどは大丈夫になります。
シーズン毎に着物の虫干しと共にたとう紙も干すだけで、二年も使用期間が伸びるのなら、
やった方が断然お得ですね。
■乾燥剤は使わないほうが良い。
たとう紙自体が、和紙という吸湿性に優れた素材でできているため、
乾燥剤を入れたことによって、着物に乾燥剤のシミができたりなどのトラブルにもなりかねませんのでおすすめしません。
■たとう紙に着物は何枚入れても大丈夫なの?
たとう紙一枚に付き、着物一枚です。
多めに着物を入れたが為に吸湿効果が発揮されなくて、返って着物を駄目にしないようにしましょう。
■たとう紙の交換時期
たとう紙を新調する目安は概ね2年とされています。
保管の環境によって、2年以内でも変えなければならない場合があります。
例えば、
・たとう紙が購入当初よりも膨張していたり、柔らかくなっているもの
・たとう紙自体にシミやカビが生えてるもの
以上はたとう紙の役目である、湿気から着物を守る事が困難な状態にあります。
大事な着物にも湿気が入り込んでいる可能性も大いにありますので、天日干ししてしっかり湿気を取って下さい。
たとし紙を新しくしても、着物自体に湿気分が含まれていては全く意味がありませんので、虫干しはしっかり行いましょう。
②たとう紙に着物を入れる訳
たとう紙は、和紙でできているため通気性に優れ、除湿効果も有るため、湿気に弱い”絹”からできた着物の保管に非常に適しています。
たとう紙に入れて着物を保管中のホコリや汚れ防止にもなりますので、着物を収納する際にはたとう紙に入れてから着物の保管先を考える様にすると良いですね。
以上がたとう紙のおすすめ収納方法でした。
大切な着物をいかにきれいな状態で長く着れる様にするかは、収納方法によって大きく左右されます。
後のお手入れの手間を大幅に楽にするためにも、まずは何が良くて、何がダメなのかをしっかり理解して、
「自分の環境に合わせた収納方法」
を見つける事が大切ですね。
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