着物の柄の配置場所が決まってない小紋などは、自分の好みや体の形に合わせて
「どの向きで仕立てるか?」
「どの柄をどの位置に持ってくるか?」
など、柄合わせを自由に決めることができるのも着物ならではの仕立て方です。
明るめの色の部分を衿もとに配置するのか、落ち着いた部分を衿もとに配置するのかなど、仕立ての方法で着姿の印象もガラッと変わり着やせ効果も期待できます。
体型のことだけではなく着物の仕立ての違いによる着姿に求めるものは、着る人によって下のように様々です。
- 自分の個性を発揮したい
- 人とは違うコーディネートをしたい
- 自分の体型をカバーしたい
- 美しく上品な印象にしたい
どんな思いにしても自分が理想とする着姿を堂々とできることが、着物を楽しむうえで大切ですね。
そのためにもまずは、どのように仕立てられた柄を着れば自分の求める着姿になるのかを知らなければいけません。
着物の柄の種類は沢山あり、それぞれの柄の特徴に合わせて仕立ての方法も
「柄をメインに考える」
「色をメインに考える」
など他にもいくつかあります。
今回は左右の色が違う下のような反物を仕立てる時の「追っかけ」と「ぶっつけ」2種類の仕立ての方法を紹介します。
着た時に受ける印象のちがいなどの特徴もあわせて紹介しますので、自分が求める着物のトータルコーディネートを考える際に、着物だけでなくコートにも応用するのも良いですね。
着物を仕立てる時の柄合わせ「追っかけ」とは
反物の柄を生かし、着る人の好みや個性を引き出し体の型をカバーしながら美しく見せる仕立ての方法を柄合わせ(裁ち合わせ)と言います。
反物から着物の各部位(身頃・袖・衿・袵等)を決める作業で、小紋・紬・コート等の反物はこの柄合わせを行い着物全体の柄の位置を決めていきます。
今回紹介する柄合わせの「追っかけ」とは、下の画像のように主に縞(しま)模様の反物を仕立てる時に行う方法です。
二色の縞でも三色の縞でも応用できる仕立ての方法ですが、下の画像のように
別名「片寄せ」「送り」とか言いますが、柄を追いかけるように仕立てることからこのように呼ばれています。
縞の反物を仕立てと言ったら「追っかけ」と言われるほど、昔から親しまれている仕立ての方法です。
着物を仕立てる時の柄合わせ「ぶっつけ」とは
縞の反物を仕立てる時の「追っかけ」とは別の、
別名「寄せ裁ち」と言われる仕立ての方法で、同じ反物でも「追っかけ」で仕立てた場合とは全く違う表情の着物になります。
「追っかけ」「ぶっつけ」でも柄の濃い方を袖側に持ってくるかや、衿は「濃い方・薄い方」どちらにするかなどの違いにより、他にもバリエーションがあり時代によっても流行りもあります。
着る人によって印象が変わってくるので、どちらの柄合わせにすればよいのか選びやすいように、それぞれの特徴や見え方を次に紹介します。
追っかけの着物を着た時の印象
「追っかけ」で仕立てた着物は、一見して縞に見えます。
着物の縞柄は、創造的で平安の時が流れた江戸時代中期以降、国産の木綿縞が登場すると粋な柄として流行しました。
様々なタイプの縞模様の反物を「追っかけ」で仕立てることで、
お茶の世界では、室町時代から「間道・漢東・漢島・広東」(かんとう)と呼ばれる縞の織物が使われるため「和」のイメージも強いのが特徴です。
「追っかけ」の中でも下のように衿の薄い濃いの違いによっても仕立てた時の印象が変わります。
■衿を薄い色で仕立てた場合
■衿を濃い色で仕立てた場合
衿が薄い方は比較的優しい印象を与えてくれるため、女性っぽくふんわり柔らかな着姿をしたい場合におすすめです。
逆に衿が濃い方は首回りがきっちり見えるため、着姿全体がしまって見えるのでクールにかっこよく着こなしたい場合におすすめです。
ぶっつけの着物を着た時の印象
「追っかけ」で仕立てた着物は昔からある馴染みの柄合わせの方法である一方、
また、同じ色をぶっつけて隣合わせにすることで身幅に大きな縦のラインができるため、着やせ効果が期待できるのも現代に人気な理由です。
こちらも衿の濃い薄いの違いや、袖側にどちらの色を持ってくるかの違いにより見え方の印象が変わってきます。
■衿を薄い色で仕立てた場合
■衿を濃い色で仕立てた場合
衿を薄い色にして身頃に変化を付けることで、着姿全体に動きが出てより個性的な印象を受けます。
衿も身頃も濃い色に統一することで、身体の中心に一本のラインができてより着やせ効果が期待できます。
以上が柄合わせの違いによる、それぞれの特徴や見え方の紹介でした。
振袖・留袖・訪問着・付下・等の初めから絵羽模様の着物はどの柄がどこにくるか決まっていますが、その他の着物はこの柄合せの違いで様々な遊びができます。
無地の縞模様の反物だけではなく下のような柄の入った縞模様でも、同じように柄合わせを考えると誰ともかぶらないオリジナルな着姿になれます。
着物だけでなくコートや羽織を仕立てる時も、下に合わせる着物をイメージしながら柄合わせの方法を考えるようにして、おしゃれをより一層楽しみたいですね。
すみません、質問ですが、イラストの
衿を濃い色に仕立てたものの衽も濃い色になっていますが衽は薄い色ではないのでしょうか?
コメントありがとうございます。
衿を濃い色にしても、衽は濃い色でも薄い色でもどちらでもできます。
反対に衿を薄い色にしても、同じように衽を濃い色薄い色どちらでもできます。
自分の好きなように色を持ってこれるということですね。