浴衣の着付けは時間もかかり大変に思われそうですが、実は初心者でも簡単にできるんです。
夏に行われる花火大会やちょっとしたお出かけに、サッサっと自分で浴衣を着れたら嬉しいですよね。
そこで今回は、初心者にも簡単に浴衣の着付けができるように、動画と画像で分かりやすく解説していきますので、参考にしてくださいね。
浴衣の着付けで必要な物
始めは、浴衣をきれいに着付ける時に必要な物から見ていきましょう。
肌に付けていくのが早い順番に、なんの為に使う物なのかも説明しながら、下記の5点を紹介していきます。
- 和装ブラジャー
- 和装肌着
- 補正用のタオル
- 腰紐(こしひも)
- 伊達締め(だてじめ)
①和装ブラジャー
和装ブラジャーは、胸元を平らにして美しい着付けにするために、使うものです。
胸の凹凸を無くし胸元の衿(えり)合わせを綺麗に仕上げてくれ、後の着崩れを最小限に押させてくれる、和装には欠かせない万能小物ですね。
直線の布で作られている着物を、曲線の体にきれいに着付ける一番のコツは、
「身体の凹凸を無くして、身体を一本の棒(直線)にする」
事にかかってきます。
和装ブラは胸の凸を抑えて身体を一本の棒にするための手助けをしてくれるアイテムです。
和装ブラを付けるだけで、仕上がりと着崩れが全然変わってきますので、初心者でも着付けを上手に仕上げる事ができます。
和装ブラがない人は、スポーツブラなどでも代用できますが、着用の際にはなるべく胸をつぶすイメージで着用すると良いですね。
②和装肌着
和装肌着は和装用のスリップみたいな物です、肌襦袢(はだじゅばん)裾よけ(すそよけ)などとも言われます。
素肌に直接触れるため、身体から出た汗を吸水してくれたり、冬などは保湿の役割も果たしてくれます。
浴衣と肌との間に着る事により、なじみを良くし、着崩れを防ぐという重要な役割もあります。
「肌襦袢」と「裾よけ」の二枚で一組の下の写真のような二部式の肌着も有りますが、どちらのタイプでも大丈夫です。
③補正用のタオル
身体の凹凸を無くすための、もう一つのアイテム補正用のタオルになります。
市販のフェイスタオルで、綿100%や吸湿性や保湿性が、良いものが理想です。
汗をかきやすい帯があたる部分に使うので、着物や帯に汗を移すのを、防ぐ役割もあります。
タオルを使う場所は主に腰回りの凹凸、身体に合わせて、凹凸が多い人は厚めのタオル、凹凸が少ない人は薄めのタオルを用意してください。
④腰紐(こしひも)
腰紐は
- 補正用のタオルを止める紐
- 浴衣を押さえる紐×2
モスリン(木綿や羊毛からできた薄地の織物)など通気性の良いものが良いですね。
⑤達締め(だてじめ)
浴衣を着て2本の腰ひもを締めた後、その上に伊達締めを締めます。
幅のある伊達締めを締める事で着崩れを防ぐことができま。
他にも余計なシワを綺麗におさめ、帯下のおはしょり(着物の折り目)をまっすぐに整える目的もあります。
写真は、しばるタイプの伊達締めで、素材は絹をおすすめします。
こちらの、しばるタイプの伊達締めの素材は絹をおすすめします。
ポリエステル素材でできている伊達締めは、自宅で洗濯がしやすい所が利点ですが、ポリエステルは滑りが良いため、着崩れしやすいのでおすすめしません。
他にもマジックテープ式で巻くだけで装着できる下の写真のような伊達締めもあります。
どちらの伊達締めにしても無くても浴衣は着れますので、ご自宅にあれば使うくらいで良いです。
以上が浴衣の着付けに必要な物になります。
使用用途と自分なりの必要性を把握できたら、次は浴衣を着る前の下準備に入ります。
浴衣を着る前の下準備(補正の仕方)
- 1 浴衣の着付けで必要な物
- 2 浴衣を着る前の下準備(補正の仕方)
- 3 浴衣を着て裾(すそ)を合わせる
- 4 前身頃(まえみごろ)を合わせる
- 5 衿(えり)合わせをする
浴衣を着る前に、まず和装用の下着を着てその上から補正をします。
着崩れを防ぐきれいな着付けは
「いかに身体の凸凹を無くす(補正)か」
にかかってきますのでしっかり抑えておきたいですね。
補正の順番は
- 和装ブラを付ける
- 和装肌着を着る
- 身体の凸凹をタオルで埋める
になります。
順番に見ていきましょう。
①和装ブラを付ける
和装ブラを付ける。
和装ブラの最大の目的は胸を潰して身体のラインをフラットにすることです。
付ける際は、胸を寄せて上げたりしないで、自然のまま付けるようにしましょう。
②和装肌着を着る
和装肌着を着る時のポイントは丸で囲んだ部分の衿合わせ(えりあわせ)です。
衿合わせの位置は喉仏(のどぼとけ)の下辺りに決めて、全体を調節して浴衣を着た時に肌着が見えないように首周りを多めに開けるように意識します。
心臓側の身頃が上になるように合わせます。
まれに浴衣を着ても下半身の下着が透けて見える人がいますので、気になる人はこの和装肌着の下に、お尻まで隠れる白のキャミソールなどを着ても大丈夫です。
③身体の凸凹をタオルで埋める
ここからは補正と言われる作業になります。
補正をするかしないかで、着姿と着崩れに大きな差が出てしまいます。
着る枚数が少ない浴衣こそ補正をしていると綺麗に仕上がりますので、是非チャレンジしてみてください。
まず初めにタオルを折幅に差を付けて、蛇腹(ジャバラ)に畳んでいきます。
横から見ると、この様に山折り谷折りを、徐々に幅を小さくした畳み方です。
次に、それをひっくり返して腰紐を当てます。
この状態で、身体の凸凹を埋めるように腰ひもを結びます。
女性は、腰からお尻にかけて凹みがありますので、その凹みをタオルで埋める感覚で補正します。
ウエスト周り全体をタオルでぐるぐる巻にする人もいますが、あまりタオルを巻きすぎると太って見えてしまうので、その辺はご自身の身体をみながら加減してください。
補正はこれで完成です。
ほんの一分もあればできる事なので、面倒くさがらずにやれると良いですね。
以上が、浴衣を着る前の下準備(補正の仕方)です。
ここまでの作業は技術もいらないし、全体で3分もあればできますね。
続いてはいよいよ浴衣の着付けです。
補正がきちんとできている状態だと、浴衣の着付けも楽にできますので、早速見ていきましょう。
浴衣を着て裾(すそ)を合わせる
- 1 浴衣の着付けで必要な物
- 2 浴衣を着る前の下準備(補正の仕方)
- 3 浴衣を着て裾(すそ)を合わせる
- 4 前身頃(まえみごろ)を合わせる
- 5 衿(えり)合わせをする
まず、浴衣を着て身体の中心と、浴衣の中心を合わせます。
浴衣をはおり、両袖(りょうそで))を引っ張り袖のたるみを無くします。
後ろは、身体の中心と、浴衣の縫い目が揃うように着ます。
前の中心は、丸の部分の高さを合わせるように着ます。
次に、後ろの浴衣の真ん中にある縫い目を持ちます。
次に前の掛衿 (かけえり)の始め、丸の部分の高さを合わせ、反対側の手で持ちます。
丸の部分が合わさるように持ち、両手を引っ張りあいながら、衣紋 (えもん)を抜いていきます。
丸の部分が衣紋(えもん)になります。
衣紋を後ろ側に下げて、抜きます。
抜き幅の目安は拳(こぶし)一個分が理想とされていますが、髪型や気温で決めてください。
背中心をずらさないように、両手を上下しながら下へさげます。
衣紋が抜けたら、左右に身頃(みごろ)を広げます。
そのまま浴衣をたくし上げて、裾(すそ)の高さ(地面からの浴衣がどれぐらい離れているか)を決めて行きます。
後ろの腰の部分を片手でつまんだまま、もう片方の手で、水平に前に浴衣を引っ張りながら高さの調節をすると、浴衣の裾が地面に対して水平になり、合わせやすいです。
裾の高さの目安は、くるぶしが隠れるぐらいが理想とされていますが、その日の天候や、自分の好みで調節してください。
あまりにも上げ過ぎは、子供っぽく見えてしまいますね。
前身頃(まえみごろ)を合わせる
- 1 浴衣の着付けで必要な物
- 2 浴衣を着る前の下準備(補正の仕方)
- 3 浴衣を着て裾(すそ)を合わせる
- 4 前身頃(まえみごろ)を合わせる
- 5 衿(えり)合わせをする
裾の高さが決まったら、身頃を合わせて行きます。
裾の高さを決めた浴衣を、お尻から浴衣を離さないようにもう一度、身頃を開きます。
まずは、上前身頃(着付けた時に上にくる身頃、心臓側の身頃)の仮合わせをします。
両脇で上半身の浴衣をはさんで固定して、下半身の身頃だけを合わせていきます。
上前身頃の理想の合わせ方は前から見て丸で囲んだ部分が少し見えるくらいに合わせます。
上前身頃の位置が決まったら、両脇を締め、上前身頃を左の腕全体で押さえます。
もう片方の手で下前身頃を矢印の方向に引っ張り浴衣のたるみを無くします。
両脇で、しっかり浴衣を固定し、今度は下前を身体に巻き付けます。
丸の部分が身体の脇より後ろに行かないように、余った下前身頃は脇の部分で折り返し収めます。
下前身頃の褄先(つまさき)は少しだけあげるように決めます。
上前を優しく巻きます。
この時、衽線(おくみせん、赤点で示した線)が真っ直ぐ通っているように合わせます。
最後に上前身頃の褄先(つまさき)も少し上げておきましょう。
裾を合わせる時のポイントは
丸で囲んで有る下身頃が上前身頃から見えていないか?の確認です。
前から見た時に丸の部分が見えていたら、かっこ悪い着付けになりますので注意しましょう。
裾の高さが決まったら、腰紐で止めて行きます。
浴衣を着付ける時に腰紐は三本使います。
全ての結び目が重なると帯を締めた時に痛いので重ならにように、一本一本ずらして結びます。
結び方は、片結び(リボン結びの片方だけ)がコブが小さく済みますのでおすすめです。
結び終わり余った紐は、紐の中に収めておきます。
後ろのシワはサイドに伸ばして綺麗にしておきましょう。
衿(えり)合わせをする
- 1 浴衣の着付けで必要な物
- 2 浴衣を着る前の下準備(補正の仕方)
- 3 浴衣を着て裾(すそ)を合わせる
- 4 前身頃(まえみごろ)を合わせる
- 5 衿(えり)合わせをする
衿合わせは、人の目線が一番近いため、着付けで一番気になる場所です。
「衿を正す」
日本人として、昔から言われている事は、この着方から出来た言葉です。
衿がきれいだとそれだけで印象も良くなりますので、しっかり正していきましょう。
まずは、丸の位置にある身八つ口(みやつぐち)から手を入れて
おはしよりと、呼ばれる、折り返した浴衣の部分を綺麗にします。
(こちらの画像は心霊写真みたいになっていますが、浴衣の中に手を入れている画像です。)
後ろも同じく身八つ口から手を入れてサイドに流すイメージで整えて行きます。
次は衣紋(えもん)と呼ばれる部分を抜きます(後ろ側に下げます)
抜き幅の目安は拳(こぶし)一個分が理想とされていますが、髪型や気温で決めてください。
抜き方は、丸の高さを合わせて片手でつまみ
背中心をずらさないように、下へさげます。
衣紋を抜いたら、前を合わせて行きます。
身八つ口から左手をいれて、左右対象になるように合わせていきます。
点線の部分が左右のバストトップの上にくるように合わせると綺麗になります、
位置が決まったら、ズレないように腰紐で抑えます。
こちらも、片結びで
余った紐は収めておきます。
ここまでできたら、後は仕上げの伊達締めで終わりです。
腰紐を隠すように伊達締めの真ん中をお腹に当てます。
うしろで交差して巻いて行きます
伊達締めは結んでしまうと、コブが太くなり帯を巻く時に痛いので、二回からげたら
ねじって終わりです。
こちらも、余った紐は、かくしておきましょう。
こちらで、できあがりです。
最後にできあがった着姿を見ながら綺麗に着付けるポイントをお伝えします。
衿合わせは、左右対称になっているか?
右の脇は綺麗に収まっているか?
丸の部分が綺麗な十字になっているか?(上半身と下半身の身頃の衽線が繋がっているか?おはしよりは、横一本に整っているか?)
半身の衽線は真っ直ぐか?
裾に余分な下身頃が出てないか?
裾しぼりになっているか?
後ろは上半身と、下半身の背中心は体型によってずれるので大丈夫です
後ろもおはしよりの線を真っ直ぐにしておきましょう。
以上が浴衣が綺麗に見える着付けのポイントになります。
最後に一通りの浴衣の着付けをしている動画の紹介になります。
日本最大級のハウツー動画サービス「ビエボ(Beable)」の動画です。
衣紋の抜き方、腰紐の収め方など画像ではわかりにくい部分も紹介してくれていますので、画像で一通りお流れをつかんだ後から見るとわかりやすくておすすめです。
着物や、浴衣は、こうでなくては駄目などと言う、着方の決まりはありません。
特に浴衣は、昔からお風呂上がりに纏う(まとう)衣としての位置づけで、寝間着としても用いられます。
旅館等では、そのような使い方をされていますね。
起源は、湯帷子(ゆかたびら)というお風呂(蒸し風呂)に入る時に付ける、とても軽装な衣から来ています。
決まり事や、ルールに捉われること無く、まずは着ることを楽しめると良いですね。