京友禅・加賀友禅・東京友禅などに代表される友禅染。
江戸に幕府が開かれて、 そこから「友禅」と名前がついたのですね
争いの無い平和な時代で町人たちも娯楽を愉しめるようになった
元禄時代(1688~1704)頃に
町で扇子の絵を描いていた
扇面師
着物の文様に取り入れたことが始まりとされている友禅染。
今では、全国各地で友禅染を手掛ける職人さんが
独自の感性のデザインを
様々な技法で手掛けています。
友禅染には
- 手書き友禅
- 型友禅
- 摺り友禅
- 霧吹き友禅
などの沢山の技法がありますが
今回ご紹介する
「太田敬春」さんが開発した濡れ描き友禅は
今までの友禅の技法をくつがえす
全く新しい技法で描かれた友禅染です。
独特の感性で作られる着物や帯たちは
「洋服感覚で着られる和装」
をコンセプトに作られています。
それゆえ現代的な文様や色使いのデザインが目を引きますが
四季折々の自然の風景
日本のしっとりした景観にもマッチするような
はんなりと品のある作品も多く
温故知新の精神を感じる世界観です。
「太田敬春」さんの華麗なる作品の数々
友禅が何?技法がどう?などは、ともかく
「まずは作品を見てみたい!」と言うのが
着物好きの心理ですよね。
なので早速
太田敬春さんが手掛ける作品を紹介したいと思います。
■まずは、まさしく「洋服感覚で着られる和装」の
コンセプトにぴったりな現代的な配色の反物。
合わせる帯や小物にもよりますが
ワンピースのようにコーディネートを考えると面白いですね。
■下の反物は地紋からデザインを考えた物。
後にご紹介しますが
反物の地紋からデザインをするというのはとても大変なこと。←大人の事情でW
(ちなみに、画像に映る全てが太田さんの作品です)
その大変な過程を経て
考えられた地紋の文様も現代的で粋なコーディネートで愉しみたい一品です
もちろん、配色もオリジナル。
■下の訪問着も帯も太田敬春さんの物
凛とした気高さを感じるデザインですね。
■こんなにしなやかで優しさを感じるしっとり正統派の訪問着も
■他にも、どれも連れて帰りたい作品ばかり
「太田敬春」さんの濡れ描き友禅とは?他の友禅との違いは?
一般的な友禅染が作られるまでには
様々な技法が用いられた約20ほどの
工程があると言われています。
その中の1つに
色と色が混ざり合わないようにする
色止め
の工程あります。
白生地に地色や文様を染めていく友禅染には
色止めがとても大切な工程になります。
例えば、カキツバタの文様を描きたいのに
隣り合わせの色(地色)とカキツバタの色が混じってしまったら
何の文様が描かれているかわからなくなってしまいますよね。
そのため色と色が混じらないように
友禅染では
色止めの工程が必要になるのです。
大豆を煮出してふのりを加えた「豆汁(こじる)」を使い
繊維に色素を吸着・結合させ、発色や定着をよくするために行うこと(工程の名前)
文様の輪郭に
もち米などを調合した「真糊」や
化学糊を用いる「ゴム糊」など
を使って防染をすること(工程の名前)
しかし、太田敬春さんの濡れ描き友禅は
その名の通り
あえて糊置きや地入れをしないで
色を乗せていきます。
生地が濡れているうえ
色止めもしていないので
乗せた色は自由気ままに
広がって行き
その自然な動きがそのままデザインになります。
先程紹介した作品を見ると何となく
工程が想像できるのではないでしょうか?
「太田敬春」さんの意外な経歴?
実は、太田敬春さんのお父様が
もともとは友禅作家さんだったそうです。
幼い頃から友禅の伝統的な技法を間近で
見てきた太田敬春さんだからこそ
濡れ描き友禅と言う
新しい技法を編み出せたのですね。
そして
という異業種からの転身。
新鮮な旬の素材を活かして
作り上げる料理人としての経験が
今の斬新で現代的な作品に
反映されているのでしょうね。
斬新な帯締めや帯揚げオリジナル地紋も
独自の技法で編み出した濡れ描き友禅は
帯締め(丸くげ)や帯揚げにも使われています。
着物や帯にそっと馴染む優しい色合いの物から
パンチの効いた個性的なデザインまで。
どちらのニアンスも色々なコーディネートで
楽しめそうなものばかり。
そして太田敬春さんは白生地の
地紋からデザインされていますが
一般的な友禅作家さんは
白生地屋さんで既存の地紋が施された
白生地を買い取り友禅をしていきます。
自分のオリジナル文様の白生地を
作るとなると白生地を織る
機(はた)の設計から初めなければなりません。
その手間や費用などを考えると
最低何千枚という反物分を
買い取る条件でしか白生地は作ってもらえません。
太田敬春さんは、それだけの反物を
あると言う証拠です。
今回始めて見せてもらった
濡れ描き友禅の作品たち。
伝統的な友禅染を見尽くした
着物通の上級者さんたちに
密かな人気なのです。
今までにない、新しい技法で
作られた濡れ描き友禅は
これからの着物文化を語るに
欠かせないものになるのでしょうね。
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