京都きもの市場さんと言えば、着物好きなら一度は目にしたことのあるインターネット通販ではお馴染みのお店です。
最近は全国各地に実店舗も展開しているので、実際に手に取って質感や風合いを確かめてから商品を選べて、私たちユーザーも安心して利用できる環境もあります。
私が住んでる地域にも実店舗があるので、伺う日は毎回ワクワクしています。
そんな京都きもの市場さんが地元の実店舗で催事を行うということで、さっそく行ってきました。
着物業界によくある不信感が募るマーケティング方法から始まり、
京都きもの市場さんごめんなさい!でも・・・
ネット通販で有名な京都きもの市場さんの催事は、メールやラインを登録しておくとお知らせが来るのでいつどこで行われるかわかるようになっています。
私もラインを登録しているので、いつも抜かりなくCHECK!
今回も、ラインの通知で京都の襟専門店「衿秀」さんの草履が目玉だという催事を知りました。
ラインで送られてきた上の広告によると、草履のお誂え(あつら)ができるとのことです。
でも広告の写真を見る限り、普段着用の草履で台や鼻緒も原色で、どちらかというと若い子向きの商品ばかりです。
うーん、ちょっと普段着使いでもオシャレ感がなさすぎて使えないなぁ~
と言うのが、率直に感じたこと。
京都きもの市場さんはネット店を見てもわかる様に、染や織の技法にこだわった正統派のお着物を多く取りあつかうお店です。
京都きもの市場(https://www.kimonoichiba.com/)
にも関わらず、こだわりのコーディネートをする人は絶対に履かないだろう草履を目玉商品とするのはほんとに残念。
広告をみる限り、目玉商品には魅力を感じませんが、もしかしたら他にもお得な物があるかもしれないと期待していざ入店。
案の定、お店に行くと広告の目玉商品は誰も目にとめないであろう、会場のふちのほーに追いやられています。
目玉商品感ゼロ!悲しい立ち位置でした。
その代わりに価格帯もぐんと上がる、お店からしたら本当のメインであろう
「草履や小物類」
が会場の中心にずらっと並べられていました。
こちらなら、京都きもの市場さんの店のイメージにピッタリと合うラインナップで素敵!
目玉商品とは、本当に売りたい商品へ誘うための「エサ」のような物で、着物業界だけでなくどこの業界でも行う当たり前のマーケティングの方法ですが、着物業界は特にその内容が残念すぎることが多いです。。
エサの商品でも
「わー得した買い物ができたわ!」
と、多少なりともそう思う商品であって欲しいのに、それも無いまま他の高い商品の売り込みをされるのです。
着物業界あるあるなので、こちらからしても
「やっぱりね~^^;」
となるけど、どこか裏切られた気持ちになります。
そのような方法を当たり前のように行う、業界のマーケティング方法を行うお店に不信感を覚えてしまいます。
京都きもの市場さんは、おしゃれで今どきの着物通なアイテムが多いだけに余計に残念です。
他にも下の様な数々の不満を、お店の店長に訴えたら
「そうですね!お客様のご期待に沿えなかったのは申し訳ありません。上の者ときちんと話し合ってこれから改善していきます。」
とおっしゃっていました。
- このようなやり方を堂々とされると、そのお店の信頼性もうすれるので他の商品の購買意欲も無くなります。
- 私たち消費者は本当に納得できた商品なら、ちゃんと妥当の価格で購入する気があります。
- 信頼性が無いお店だと、着物の金額設定も信用できません。
- いらない特典にお金をかけるなら、その分商品や職人さんに還元してほしい
等々。
店長からしたらお得意様でもない、こうして何かのイベントに来るだけの私に、このようなツッコミをされて気持ちは良くなかったと思います。
ごめんなさいね^^;
ですがこうした情報をはじめ、着物に関するも様々な情報をネットで見るとこができるこれからの時代は、私みたいなユーザーはこれからもっと増えると思います。
今まで、当たり前に行っていた業界のマーケティング方法はこれからの客層には通じないことを自覚してほしいのです。。
着物好きなだけに、ほんとに業界の方々には頑張って欲しいから・・・
私たちユーザーも着物好きであるからこそ、これからも着物を着ていくために、業界が活性化してくれないと困まるので、本当に応援したい気持ちでいっぱいなんです。
そんな思いも込めて、今回の私が感じた思いを含めた催事の様子をブログに掲載することをお願いしたら、快く承諾してくれました。
その対応からは、京都きもの市場さんの
と、始まりは色々ありましたが、その後は催事に行かなければできない貴重な体験をさせていただけました。
今回の催事のゲスト「
はじめから
「今回の催事の目玉は草履のすげ替え実演です」
と広告したほうが なんとも図々しくすいません。
草履の職人さんからみた格や流行りのお話や、草履を誂える時の
と、言うことでw
ここからは、普段は中々見ることのできない、衿秀さんによる草履のすげ替えの実演の内容をお伝えしていきます。
京都の「衿秀」さんの草履のすげ替えの実演
今回は草履のすげ替えというより、新品で誂えるのですげをするための台と鼻緒選びからです。
お店に並べられた、色鮮やかな普段着用から礼装用の台と鼻緒は下のように個性あふれた上品な物ばかり。
一枚ものの台から三枚ものの台まで高さもそれぞれ。
(草履は台の高さがあるほど、フォーマル度が上がるといわれています)
素材も定番のエナメル革から、畳表や白木などレパートリーが豊富です。
(素材は革の物が一番格が高いですね)
礼装用の鼻緒も最近の柄は大柄ではっきりとした柄行が多いように感じました。
(礼装用の鼻緒は台の色と合わせて調和させることで、主張しすぎてはいけない礼装用の草履になります)
普段着用にも使える鼻緒は色のバリエーションが豊富で見ていて飽きません。
(個性を出しても良い普段着用の草履は、台と鼻緒は自分好みに自由に楽しむことができます)
私は、何に関しても個性的で誰ともかぶらない物が好みなので、礼装用の草履も台と鼻緒の色と柄をあえて変えたものを選んでみました。
そしたら、職人さんに
「礼装用の草履を使う場面は自分が主役でない場合が多いので、個性を主張する色や柄合わせはやめた方が良い」
とのアドバイスをいただきました。
確かに、私も着付けの先生に
「装いとは相手と場所に敬意を払い決めるもの」
と教えて頂いたことがあります。
草履一つとっても、そんな心配りが大切な着物の装いは、自分自身を見つめなおすいい機会を与えてくれるものと、改めて感じました。
一通りの商品を見終わった後に、こんなに種類が沢山あるのに低反発の台が一足も見当たらないということに、疑問が出てきました。
個人的に草履選びの時に一番重要なのが低反発であることなので、不思議に思い聞いてみたところ
「昔はよく作っていたが、今は取り扱いもしていない」
とのこと。
お店の人いわく取り扱わなくなった理由は特にないそうですが、しいと言えば需要がそんなになかったそうです。
そして職人目線からも、低反発の草履はどうしても小判型の台になってしまうので見た目がカッコよくないらしい。
私は甲高幅広の足の形をしているので、小判型の台は安定感があって好きですが人により好き嫌いが分かれますね。
また、流行りや地域性によっても変わってくるそうですが、低反発は取り扱ってなかったので残念です。
ということで、私は今回誂えはしなかったですが、同伴した方が礼装用の草履を作ることになりました。
並べられた中から好みの台と鼻緒を選んだら、職人さんによるすげの実践です。
まずは下の鼻緒を台に付けるための準備です。
後ろの鼻緒の端から1.5cmぐらいの場所に孔(あな)を開けて、台に通すための芯縄をセットします。
ちなみに今回の鼻緒に使われている芯縄は、麻とナイロンでできている物です。
芯縄の種類には下のように3種類ありますが、その特徴はそれぞれ違います。
- 麻・・・昔はよく使われてた素材ですが、水分を含むと切れやすくなるのが難点。ゆるみがなくきつめに鼻緒をすげたい場合にはおすすめです。
- 麻とナイロン・・・現在はほとんどの芯縄がこのタイプで、強度があり切れることはまずない。丁度よいきつさですげることができる。
- ポリエステル・・・安価で作られる鼻緒によく使われますが、伸びが早いので鼻緒がすぐに緩んでくる。
誂える草履や鼻緒の種類によっても変わってくると思いますが、今回の様な礼装用の草履は麻とナイロンでできたものが主流ですね。
続いては、開けた孔に芯縄を通して行きます。
今回は関西のすげ方なので、下のように芯縄は輪っかに準備しておきます。
鼻緒の種類も関西と関東では違いがあるそうです。
下の画像の左が関西、右が関東の鼻緒の状態で先の始末の仕方が違いますね。
関東は一本すげと言って、芯縄が下のように一本の状態ですげて行くそうです。
地域によってすげ方が変わってくるのですね。
ちなみに今回使った鼻緒は中に詰めてある物が上質なので下のように曲げてもねじっても元に戻ります。
しかし、安価な鼻緒の場合は下のような厚紙の芯が入っているため、ねじれや、曲げに弱く一度ついてしまった形は治りにくいです。
芯が入っているか無いかは、外から触ってもわかるので鼻緒選びの一つの目安になります。
ここまでが鼻緒の準備ですが、ものの5分もくらいの職人業です。
素早い作業でしたが、職人さんによる解説付きなのでとても勉強になりました。
そして次はいよいよ、準備した鼻緒を台にすげていきます。
まずは、台の底にある裏蓋(うらふた)をめくって鼻緒を通す孔を出します。
前坪と後孔の蓋を開けると下のような穴がでてくるので、この穴に芯縄を通していくのですね。
まずは前坪に芯縄を通します。
裏で仮止めをします。
続いて後ろの孔にも芯縄を通していきます。
特殊な道具を使って芯縄を引っ張っていると思いきや、どこにでも売っているニッパーだそうです。
昔はすげ替え専門の道具があったそうですが、現代は特に決まった道具は無いそうです。
そして、後ろの芯縄を縛って留めます。
一瞬で二カ所の孔から出た芯縄を留めていくその様子は、まさに職人のわざでした。
そして表の鼻緒の形を整えて、もう片方の草履もすげていきます。
両方の草履をすげ終わったらいよいよ試し履きです。
自分の好みのきつさに鼻緒を合わせていくのですが、おおよその目安は指の先が少し入るくらい。
前坪が足の根元についてしまったら逆に歩きずらいので、足が前に行きすぎないきつさで、踵(かかと)が台から少しでるのがベスト。
今回は左の草履が少しきつかったので、底の蓋を開けて芯縄を緩めて再度すげ直しです。
そして、職人の感で丁度良いきつさになるところで固定します。
再び試し履きで、鼻緒のきつさを確かめます。
今度は一発で、丁度良い硬さに決まりました。
最後に両方の鼻緒の形を整えて終了です。
ここまでの作業はトータルでわずか15分ほどで、その手際の良さはさすが職人さんという感じです。
作業の途中で、職人さんならではの草履のお手入や長持ちさせるための下のような秘訣を教えてくれました。
- 革の草履のお手入は、無添加の乳液で磨くと程よい保湿ができて良い。
- 高温多湿は保管には向かないが、乾燥しすぎも台にひびが入って劣化が早くなる。
- 箱に入れたままの保管は湿気がこもるので、おすすめしない。
- 下駄箱にそのまま入れて置くので良い。
- 鼻緒の形を整えてから保管する。
- 鼻緒の形の癖がつかないように左右交互に履くようにする。
草履は他にもカビや劣化に注意して保管することで、すこしでも長く愛用できるようになります。
その方法をより詳しく紹介した記事が下にありますので、良かったら参考にしてください。
今回こうして草履のすげの実演をみせて頂いたことにより、草履の構造がわかりお手入の方法も理解できたように感じます。
できあ上がった状態の草履ではここまで詳しく知ることができないので、とても貴重な体験をさせていただけました。
こうして、職人さんの技を見たり直接話が聞けることも催事の一番の醍醐味ではないでうか。
続いて、今回色々教えてくれた京都の衿秀さんとはどんなメーカーさんなのかを紹介したいと思います。
京都の「衿秀」さんとはどんなメーカー?
今回の京都きもの市場さんの催事で、草履のすげの実演をしてくれた衿秀さんは、半襟や帯締め帯揚げなど着物の小物を主に扱う京都のメーカーさんです。
他にも、衿秀さんというとどんな場面でも使える種類豊富な和装バッグも有名です。
今回のように草履の他に、特に定評なのがバリエーション豊富な帯揚げです。
今回の催事にもカラフルな帯揚げや帯締めが沢山展示してありました。
帯揚げはメーカーによって素材や特徴が様々ですが、衿秀さんの帯揚げの評判が良いのはその質感にある様に感じます。
ちょうど私たちが、衿秀さんの帯揚げのコーナーに居た時にも他のお客様が
「衿秀の帯揚げは一度締めたら他の物は使えなくなる」
とおっしゃっていました。
私も以前、お茶をされている知人から
「衿秀の帯揚げはお茶の世界でも有名で、衿秀の帯揚げでないとダメだとおっしゃる先生もいる」
と聞いたことがあります。
衿秀さんの帯揚げは、程よい厚みと質感が誰でもシワなく上手に使いこなせる生地だそうです。
私もお店に並ぶ商品を実際に手に取てみたところ、確かに上質な絹で適度な張りがあるため、きれいに結べそうな感じがしました。
ネット販売もしていますが、やはりこうした催事の方が種類も豊富に取り揃えられるので、より多くの中から選ぶことができます。
どうも帯揚げ結びが苦手という場合は、一度衿秀さんの帯揚げを使ってみるのをおすすめします。
以上で、衿秀さんの紹介は終わります。
今回の京都きもの市場さんの催事は、はじめは色々ありましたが、草履のすげ実演のおかげで、とても内容の濃い催事になりました。
こうして呉服店の催事に出向き、職人さんに直接色々なお話を聞くことが、自分らしい着物生活を楽しむための一番の近道だと感じます。
そして、ネットでは載っていない商品が見れるのも実店舗の強みです。
最後に今回お世話になった京都きもの市場さんの紹介をして終わります。
京都きもの市場さんの実店舗のメリットは?
京都きもの市場さんの店舗にある商品のほとんどが、ネットには載って無い貴重な商品ばかりです。
普通の呉服店だと一見さんでは入りにくい雰囲気がありますが、京都きもの市場さんはネットであらかじめ予約できます。
『予約をしてからお店に伺う』
という工程を踏むことで、直接訪問するよりはるかにハードルが下がり入りやすいです。
私も実店舗の最初の訪問は、ネット予約からでした。
それから気になる催事の度にお店に行くようすると、自然と顔も覚えてもらえるようになりました。
いつも一人で見えてる方もいるし、何人もの人に囲まれて商品を進められることはありません。
担当の店員さん一人が程よいタイミングで商品の紹介をしてくれる程度なので、洋服店に入るような感覚です。
はじめの一歩は、作家さんやどこかのメーカーさんの講演会などがある催事に伺うと、スムーズに店舗も見る事ができるのでおすすめです。
京都きもの市場さんは
「馴染みの呉服店を作りたい」
と思っている場合に、入りやすく今の時代に合った呉服店のあり方のように感じます。
自分の着物生活の幅を広げるためにも、一度ネット予約して催事に行ってみるのも良いですね。
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