着物業界でも常にトップの業績がある「一蔵」が運営する着付け教室のいち瑠には私も以前通ったことがありました。
金融庁と東証企業で開示された報告書等の業績を比較したサイト「Suik」で開示されている下の表でも見てわかる様に、業界でも注目の着付け教室です。
私が通っていた時も、用事で参加できない時に適用される「振り替え授業」の日にちも、予約いっぱいになってるほど人気の教室でした。
下の記事でも紹介していますが、いち瑠の口コミや評判は好評でしっかり着付けを習うことができます。
今回はそんないち瑠の着付け教室の修了生も参加できる「新春初売りフェスタ」に行ってきました。
いつものお教室で行われた着物の販売会には、いくつかの業者さんの着物がずらり並んでいます。
年内一発目の販売会「初売り」だけに、普段よりお得な企画が目白押しのフェスタの様子を紹介したいと思います。
目次
いち瑠の初売りフェスタの流れは?
いつもの着付け教室で行われた販売会は、どこの販売会でも一緒の時間帯の午前10時からのスタートです。
今回の販売会は講演会とかもないため、自分の都合の良い時間に行けるスタイルでした。
私が販売会に付いたのは10時5分ごろだったのに、会場は既に参加者でいっぱいで少しびっくりです。
50帖もないくらいの小さな会場に、華やかな着物や帯がずらりと並ぶ販売会。
そんないち瑠の販売会の、大まかな進行は下記のような流れです。
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②コートや草履を預かってもらう
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③担当者と一緒にまずは会場を一周
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④最初は目玉商品のコーナーへ。
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⑤今回の初売りフェスタでのおすすめ着物の説明
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⑥気になる着物や帯の試着
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⑦購入品の伝票作成・決済
まずは担当者と一緒に、下のように会場にところせましと並べられた着物や帯を見て回って行きます。
順番に商品の説明を聞きながら見ていくのですが、はやる気持ちが抑えられなくて、ほとんど担当者の話が頭に入ってきません。
会場に入った瞬間に自分の好みの商品を発見しているので、その商品の方に早く行きたくて仕方ないのです。
しかし、そんな気持ちを抑えて、まずは今回の初売りフェスタの目玉商品の紹介です。
いち瑠の初売りフェスタの目玉商品は?
着物に限らず、初売りの目玉というのは人気があるのでいち早く売り切れてしまうものです。
担当の方も、はやる気持ちの私に気づきながらも
「まずは一番お得な目玉商品に行きますよ!早い者勝ちだからすぐになくなってしまうので。」
と私に負けず、強引に目玉商品のコーナーに連れていきます。
安かろう悪かろうをこの業界で散々体験してきたので、初めは正直あまり興味はありませんでした。
しかし、目玉商品のコーナーについて直ぐに目に入ってきたのは、私好みの色柄の花織の名古屋帯でした。
「え!これも目玉商品なんですか?」
と聞くと同時に値段を見ると20,190円!!!その年に合わせた値段設定だったのです。
(ちょうど、花織の値段が隠れてしまっていますが)
「えっえっ!この花織も201,900円なのですか?」
と再度聞きながら、ちゃっかり自分の手の中に確保です。
本場沖縄の花織とは違う西陣の花織とはいえ、私がいつも買っている着付け教室の呉服屋なら、ちょうどゼロが一つ多いくらいの値段の物です。
めちゃくちゃお得な商品を見つけてしまったと、正に目玉商品でした。
興奮のあまり写真を撮るのを忘れてしまったのですが、従来の花織のように多色使いの南国調の織ではなく、3色使いぐらいでまとめた現代的なシックな帯でした。
初めから、こんなにお得にド・ストライクの商品を見つけてしまったので、益々今回の初売りに期待が出てきます。
嬉しい気持ちの中、続いて紹介されたのは今回のおすすめの着物のコーナーです。
いち瑠の初売りフェスタでのおすすめ商品は?
今回の初売りフェスタでのおすすめの商品は、下のような着物と帯のセットになった物でした。
着物と帯が「5万円」「10万円」「20万」のコーナー別に分かれていて、どのコーナーの組み合わせでも半額になるということです。
そんなコーナーには下のような着物や帯が並んでいました。
普段着に使える紬や小紋は、御召や江戸小紋などちょっとしたお出かけにも使えそうな物までそろっていました。
訪問着も、染め物から織物までどんなシーンでも該当するように、多くの種類の着物が置いてあります。
帯も名古屋帯に始まり、洒落袋帯に入卒式にも使えそうな金糸銀糸の入った艶やかな袋帯まで巻物を広げて見てみます。
普段よりはるかに安い値段設定なだけに、どんな場面でも使えそうなオーソドックスな商品が多かったです。
メーカーや産地にこだわらなく、色や柄の好みが合う人ならとてもお値打ちな商品だと思います。
ですが私には、初めから気になるメーカーの着物が横目で手招きしているので、やはりそちらに足が向きます。
今回の初売りフェスタでの注目の商品
今回のフェスタで会場に着いた瞬間に見つけてしまった注目の商品は、下の画像の十日町のメーカー「青柳」さんの櫛引きの着物です。
櫛引きとは約20年ほど前に十日町のメーカー「青柳」さんが特許を取った技法で、竹櫛(たけくし)を使い下のような模様を織りだして行く技法のことです。
偶然にも当日私が着てた下の着物も、青柳さんの櫛引きだったのですが、今回のは私の櫛引きとはタイプの違うものでした。
櫛引きされている方向が私のは縦に櫛引きされているのに対し、今回の商品は横向きに櫛引きが施されていますね。
この横向きの櫛引は、違う呉服屋でもお見かけしたことがあったので、今回の注目はもっと違った視点でした。
この横向きの櫛引きはコート用の絵羽として織られていて、よく見ると背中心に縫い目がないのです。
普通、着物の背中は下の画像のように右と左の二枚の生地を縫い合わせて作られますが、今回の着物はその縫い目がなくスッキリしています。
(背中心に線がみえるのですが織線ではなく「折り線」で、着ていくうちに消えていくのだそうです。)
この広幅で一枚の反物として織ることは、特別な技術のいることなので、とても貴重な反物ということです。
今回の会場にきていた、櫛引の職人さんに聞いたところ
「櫛引の特徴の透け感が出る生地を、裏を付けずカッコよく着てほしい」
という思いからこの幅広の織を開発したのだそうです。
透け感のある生地だと、どうしても背中心が気になるという職人独特のこだわりですね。
今回の櫛引は
■櫛引が横向きに織られている
■背中心をなくすために広幅で織られてる
この二つの特徴が気になって仕方なかったので、お値段を聞いたところあえなく断念。
レディースのロレックスのステンデイジャストが正規で買えるくらいのお値段でした。
ウィンドウショッピング程度の気持ちで来た主婦が、簡単に買える値段ではないですね。
これだけ全面に櫛引を施すのに、一か月以上かかると言う話を職人さん直々に聞くと、値段交渉もできません。
いつものごとく、後ろ髪を引かれる思いで青柳を離れて別のコーナーに行くと、ふとカレンブロッソで有名な「菱屋」さんの箱を発見しました。
最後の最後に普段では絶対に見ることのないカレンブロッソの草履を見つけてしまったので紹介します。
絶対にお目にかかることのできないカレンブロッソの草履
今流行りの、カレンブロッソのカフェ草履を紹介した下の記事にも書いたことがあるのですが、こうした販売会では普段見ることのない
「レアなカレンブロッソ」
を発見することができる唯一のチャンスなんです。
そんな思いが常に頭にあるので、ついつい下のような菱屋のカレンブロッソの箱を見つけると中を見たくなってしまいます。
早速、担当の人にお願いして出してもらったら、予想通り天がエイの革で鼻緒が白の牛革でできた、かなりレアなカレンブロッソが出てきました。
天に使われていたエイの革には、1匹のエイから1個しか取れないという「斑点」もついた貴重な物。
こちらも興奮のあまり写真を取り忘れてしまったのですが、イメージとしては下の画像のようにエイ革が天に使われていたカレンブロッソでした。
(鼻緒は白の市松模様で牛革でした。)
エイの斑点は人工か天然かで大きく価値が変わるのですが、今回のは天然の本物の斑点だったのでかなりのレア商品でした。
ここで逃したら本当に二度と巡り会えないと思い、
「これ、欲しいです」
と、そこのメーカーの人に言ったら、あっさり断られました。
何でも、そこのメーカーの着物や帯を買った人へのプレゼントとして持ってきた物だそうです。
この業界あるあるの、よくわからない理由で断られる今回も正にそんな感じでした。
他にもまだいくつかの草履は残っているのだし、検討するくらいの対応があっても良いのにと思ってしまいます。
きっと常連のお客様に頼まれたなら了解するのでしょうが、
今回はいち瑠の人ではなくて、そのカレンブロッソを持ってきたメーカーの方(職人)の対応でしたが、そうした対応はとても残念でした。
ごく一部の着物業界の人の行動が、全体のイメージを悪くしているのは着物好きとしても悲しくなります。
この業界に明るい未来を残すためにも、せめて消費者が納得できる理由なり態度での対応をしてほしいですね。
そんな感じで、今回のいち瑠の初売りフェスタは幕を閉じました。
今回の買い物は目玉商品の名古屋帯だけで終わり、仕立て代と帯芯を足した丁度50,000円ほどでした。
最後のエイ革のカレンブロッソはかなりレアでしたが、残念です。
ですがこうした販売会では、菱屋さんとメーカーがコラボした
「一点物のカレンブロッソがあるかも」
と、頭に置いておくと良いですね。
今年初めてのいち瑠の展示会は、本当に目玉の商品もあったりとかなり充実した内容だったと思いました。
自分のコーディネートの幅を広げるためには、こうした展示会でいかに多くの最新の情報を手に入れらるかが大切になってきます。
実際に足を運んで、質感や色合いを自分の目で確かめるのが理想ですが、人それぞれ環境も考えも違っていて当たり前。
ですが、どんな方法でも常に自分らしいコーディネートができるように、自分に自信が付く知識を蓄えていきたいですね。