大切な着物や帯をできるだけ長く良い状態で保ためには、クリーニングにはどのタイミングで出すのが良いのか気になりますね。
お祝い事でしか着ない留袖や振袖を、一回だけ着た場合などもその都度出すのかも分からない。
ふとした不注意で着物を汚してしまったり、暑い日に汗をいっぱい掻いたので着物や帯に移っていないか心配など、着物をクリーニングに出したくなる理由は様々あります。
ですが、何かあるたびに毎回クリーニングに出すと経済的にも負担がかかり、着物が気軽に楽しめなくなっては本末転倒です。
それだけではなく、必要以上にクリーニングに出すことで大切な着物や帯に負担をかける事にもなりかねません。
無理なく着物を楽しむためにも、クリーニングに出す頻度や、染み抜きや汗抜きに出すタイミングを紹介します。
また、着物をクリーニングに出したらどれぐらいの期間で返ってくるのか気になるので、合わせて紹介したいと思います。
着物をクリーニングに出す頻度は?
着物のクリーニングはいくつかの方法があり、方法別に落ちる汚れの種類も変わり、クリーニングする目的も変わってきます。
より詳しいクリーニングの頻度を知るために、まずは着物のクリーニングの方法には何があるのか紹介します。
着物のクリーニングは大きく分けて下記のような方法があります。
- 丸洗い(ドライクリーニング)
- 汗抜き
- 部分洗い、シミ抜き
- 洗い張り
- 湯のし
- 地入れ
一般的に着物のクリーニングと言ったら、丸洗いのことをさしている場合がほとんどなので、「丸洗い」に出す頻度について詳しく説明します。
着物を丸洗いに出す頻度は?
着物を丸洗いに出す頻度は、着物を着る頻度にもよって変わりますが、
普段から良く着る着物については
例えば袷の着物の場合、来シーズンまで袷を着なくなる5月や6月ごろに一回クリーニングするのが良いと思います。
丸洗いは下のような油性の汚れを落とすのが得意なクリーニングです。
- マヨネーズなど油性の食べこぼし
- ファンデーション、口紅などの油性の化粧品等
- 皮脂汚れ
以上のような油性の汚れが付いた状態のまま長期間その着物を着ない時がクリーニングに出すタイミングとして考えても分かりやすいです。
着物に付いた汚れは時間が経つと余計に取れにくくなってしまうので、数年に一回しか着ない留袖や振袖などは、一回着ただけでもクリーニングしたほうが良いでしょう。
丸洗いは、着物をほどかず揮発洗い(水を使わず石油系の洗剤で洗う)の機械で洗う着物のクリーニングで、その工程は下記の順番に行います。
- 着物にどんな汚れがあるのかや生地の状態を確認する
- 一点一点を専用のブラシを使い手作業で前洗いをする
- 一点ずつをネットに入れた着物を機械に入れて、専用の有機溶剤でドライクリーニングを行う
- 真空低温乾燥機を使い、ゆっくりと時間をかけて低温で乾燥させる
- 仕上げの確認をして畳む
簡易的とはいえ一回の丸洗いも着物に大きな負担がかかるのが分かりますね。
それだけではなく下記のような一般的な丸洗いの相場の料金を、一回着ただけの着物にかけるとなると、経済的にも負担がかかってしまいます。
- 振袖:8,000円~12,000円
- 留袖:8,000円~13,000円
- 訪問着:6,000円~8,000円
- 小紋・紬:6,000円~8,000円
着物のクリーニングの中では一番簡易的な方法の洗いですが、やはり頻繁に出すのは着物自体にも負担がかかり経済的にも苦しいです。
できるだけクリーニングに出す頻度を少なくすると、着物と長い付き合いができるようになります。
このように油性の汚れに強い丸洗いですが、クリーニングをお願いする時に注意したい点がありますので紹介します。
着物を丸洗いに出すときの注意点
着物の丸洗いとは食べこぼしやファンデーションなどの油性の汚れに適したクリーニングの方法で、洋服でいうドライクリーニングの事です。
本来の丸洗いを行うには国家資格を取得する必要があり、袖口や衿、裾など汚れやすい個所を特殊なブラシで一枚一枚手洗いしてからドライクリーニングに入ります。
しかし安価な場合や大量受注の工場などは、この一番大切な手洗いをしない場合があり、ドライクリーニングも大量の着物を一気に機械に入れて洗う場合があります。
そのような方法だと、ファンデーションや口紅の汚れやマヨネーズ等の食べ物の汚れ、皮脂汚れ等の油性の汚れはほとんど落ちません。
これらの汚れを取るために
丸洗いは水溶性の汗も落ちないので、汗を大量にかいてしまった場合は丸洗いとは別に「汗抜き」に出す必要があります。
アルコールや血液などの水性の汚れも「染み抜き」という汚れた部分を個別に洗う方法でなければ落ちません。
油性の汚れではなく水性の汚れだけを取りたい場合は、丸洗いではなく初めから「汗抜き」や「染み抜き」だけでクリーニングをお願いした方が着物の痛みも少なく経済的にも楽です。
自分の着物の何をどのような方法でクリーニングしたいのかをきちんと把握してから出すようにすると良いですね。
しかし、専門の人間でない限り着物に付いた染みや汚れをどの方法でクリーニングすれば良いのかわかりません。
そこで、素人でもある程度の知識が持てるように、着物のクリーニングの種類や汚れ別に、どのクリーニングに出せば良いのかを書いた記事を紹介します。
この記事は着物の種類別のクリーニングの相場の紹介の記事ですが、クリーニングの種類別の内容や工程など、分かりやすく書いてあります。
自分の着物はどんなクリーニングをすれば良いのかを知りたい時などの参考にしてくれたら良いと思います。
以上のような「汗抜き」や「染み抜き」に出す時はタイミングも大切になってきますので、次はその紹介をしたいと思います。
染み抜きや汗抜きに出すタイミングは?
着物に付いたシミは素人が無理に取ろうとすると余計にシミが広がったり、時間が経つにつれて取れにくくなっていきます。
そのため染み抜きはシミが付いた時点で「悉皆屋」という着物のお手入専門家に相談すると良いでしょう。
また、自分で自覚がなくても帯回りは沢山の汗をかいているもので、
「あまり汗をかいてないから今シーズンは汗抜きはしなくても大丈夫」
と、そのまま収納していざ次に着ようと思った時に汗ジミができていたという話は結構聞きます。
とは言いつつも。毎回毎回着物を着るたびに汗抜きに出すのも大変なので、着物を脱いだときはしっかりと陰干しをして水分や皮脂を飛ばす応急処置をしておきます。
そうしてシーズン中に出番が多かった着物や、着物を脱いだ時に帯回りが湿っていた着物などは、衣替えの時期などに汗抜きに出すようにすると良いでしょう。
ここまでは着物のクリーニングの紹介でしたが着物と同じだけの出番がある帯のクリーニングはどうすれば良いのでしょうか。
次は仕立て方や織り方が着物とは全く違う帯のクリーニングに出す頻度を紹介します。
帯のクリーニングに出す頻度は違うの?
しかし、丸洗いが必要ない変わりに使用したらすぐに「陰干し」をして汗や水分を飛ばし、シミや傷が付いていないか確認することが大切になってきます。
陰干しの時に水性のシミや食べこぼし等の汚れが見つかったら、帯も着物と同様に早めにその部分の染み抜きをする必要があるからです。
同様に汗をすいやすい位置に使用する帯は、季節の変わり目のタイミングに汗抜きも検討する必要があります。
自分が思っている以上に汗を吸っている帯は、きちんと陰干しをしていないとカビが生えて気づいた時に高額な料金を払ったと言う話はよく聞きます。
特にカビが生えやすいのは、袋帯にも名古屋帯にも使用される「帯芯」です。
帯芯は「絹芯」と「綿芯」があり、帯の内側に入っているため湿気がこもりやすく、この部分にカビが生えやすくなっています。
帯芯にカビが生えてしまうと、帯を全て解いて内側からカビを取り除く作業が必要であるため、クリーニング料金も高額になってしまいます。
保管中にもきちんと定期的な「虫干し」をすることでカビの発生を抑えることができますが、特に汗を吸っている夏帯などは汗抜きに出してから保管をするようにしましょう。
以上が、帯のクリーニングの頻度の紹介でした。
着物も帯も使用頻度やシミやカビなどの汚れの付き具合でクリーニングに出す頻度は変わってきますが、クリーニングにかかる期間もクリーニングの内容によって変わってきます。
思いがけないシミやカビを発見してすぐにでもクリーニングに出したい場合に、着る予定がすでに決まっている物だとクリーニングに何日かかるか気になりますね。
そこで次は着物のクリーニングにかかる期間をクリーニングの種類別に紹介します。
着物のクリーニングにかかる期間は何日?
着物のクリーニングにかかる期間は、クリーニングの仕方や時期や汚れの濃さによって変わってきます。
しかし、職人の数や作業の方法もお店によって違うので一概には言えません。
早い所でしたら1週間から2週間程で手元に戻る場合があるので、急ぎの場合は一度問い合わせてみるのも一つの手です。
以上が着物をクリーニングに出した時の期間の紹介でした。
大切な着物や帯のクリーニングを適切に行うことで、寿命をのばして長く愛用することができるようになります。
クリーニングの種類や方法を理解したうえで、自分の着物や帯に合ったクリーニングの方法ができると良いですね。
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